2002 Fiscal Year Annual Research Report
メタファー・テクスト・コミュニケーションの理論的統合の試みと近現代ドイツ文学
Project/Area Number |
13610616
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 拓夫 北海道大学, 言語文化部, 教授 (20091457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 純一 北海道大学, 言語文化部, 助教授 (30216395)
吉田 徹也 北海道大学, 言語文化部, 教授 (80003531)
高橋 吉文 北海道大学, 言語文化部, 教授 (20091473)
堀田 真紀子 北海道大学, 言語文化部, 助教授 (90261346)
西村 龍一 北海道大学, 言語文化部, 助教授 (10241390)
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Keywords | メタファー / テクスト / コミュニケーション / メディア / システム論 / 近現代ドイツ文学 |
Research Abstract |
前年度の理論的な研究成果をもとに、今年度は具体的なテクストの分析をおこなうとともに、その結果を理論的な領域へとフィードバックする作業を中心に進めた。次の3点が中心となった。(1)意味転換機能としてのメタファーの分析:中世から現代にいたるドイツ文学におけるいくつかのモチーフ(例えば「森と魔術」)のメタファー的変遷を跡付け、時代と状況に応じて変化する主導的コミュニケーション・メディアとしての役割を果たしていることが確認された。このことは文学テクストのシステム論的分析にとって極めて大きな意味を持っていると考えられる。(2)テクスト相互コミュニケーション機能の分析:思想的テクストと政治的なテクストの相互作用と波及効果を、シュミット、ベンヤミン、ハイデガー、デリダ、カバラ等の影響関係をもとに分析した。この作業では、思想の直接的(オブジェクトレベルでの)メッセージよりも、メタファー的な(メタレベルでの)解釈と「意味」の進化論的競合が、テクスト相互のコミュニケーションを推進させ、現実的な影響力をもつという仮説が得られた。この問題はメディア技術と社会システム論を含めたさらなる分析が必要と思われる。(3)現在の情報処理テクノロジーにおけるメタファー問題の分析と今後の展望:コンピュータ技術における脳、人工知能、想像力、ことばの意味解釈等に関するいくつかのテクストが検討され、本研究にとっての応用可能性と方法論が整理された。
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Research Products
(2 results)