2001 Fiscal Year Annual Research Report
ブランデンブルク・プロイセンと少数民族形象-ドイツ現代自然詩研究
Project/Area Number |
13610617
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
杉浦 謙介 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 助教授 (40196712)
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Keywords | ブランデンブルク / プロイセン / ドイツ文学 / 自然詩 / フーヘル / アイヒ / 少数民族 / ヴェンデン人 |
Research Abstract |
本研究は3つの局面を有している。第1は、ブランデンブルク・プロイセンの地域研究であり、第2は、この地域の少数民族研究であり、第3は、この地域の自然及び少数民族を描いた自然詩研究である。こらら3局面を密接に関連付けて、学際的な研究を目指している。 平成13年度は、まず、この3局面(地域研究・少数民族研究・自然詩研究)に関する資料・文献について、收集および概括的な整理・読解を行った。とりわけ、平成13年(2001年)は、プロイセン王国成立(1701年)300周年にあたったため、ブランデンブルク・プロイセンについての図書・特集記事が多数世に出た。しかも、新世紀(21世紀)ということもあって、前世紀(20世紀)の固定概念(プロイセン=スラヴ系民族抑圧者、プロイセン=資本主義的帝国主義)から離れて、新しい視点からブランデンブルク・プロイセンを捉えなおそうとする傾向が強かった。そのなかで、ブランデンブルク・プロイセン地域におけるドイツ人と少数民族との関係も冷静に捉えなおされるようになった。この点は、私の研究に大きな示唆を与えてくれた。 一方、ブランデンブルク・プロイセンの自然詩を研究するなかで、ブランデンブルク出身の自然詩人Huchelは、そのHuchelという名前自体がスラヴ系のヴェンデン人の言語と関連があることや、また、同様にブランデンブルク出身の自然詩人Eichが生れたLebusは、スラヴ系の民族名が語源になっていることなどを確認した。そして、これらの詩人の自然詩のテクストには、ブランデンブルクの自然風景ばかりではなく、この自然のなかでドイツ人と共生してきた少数民族(ヴェンデン人、シンティ・ロマ、ユダヤ人など)が描かれ、この少数民族形象がブランデンブルク自然詩の極めて重要な形象になっていることが明らかになった。
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