2001 Fiscal Year Annual Research Report
日韓語の談話モダリティ形式の機能類型論的研究:日韓語と英独語との対照を中心に
Project/Area Number |
13610648
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
堀江 薫 東北大学, 留学生センター, 助教授 (70181526)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉本 啓 東北大学, 留学生センター, 教授 (50282017)
小野 尚之 東北大学, 大学院・国際文化研究科, 助教授 (50214185)
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Keywords | 談話モダリティ / 命題とモダリティ / 談話と文法構造 / 情報構造 / 終助詞 / 日韓対照文法 / 認知類型論 |
Research Abstract |
本年度は、日本語の終助詞と韓国語の文末接辞の談話における用法の対照分析を通じて、日韓語はいずれも「命題」「モダリティ」「談話モダリティ」という3つの階層構造を有しているが、特に、聞き手に対する待遇、主観性等の表現である「談話モダリティ」に関して、以下の体系的な相違点が存在することが明らかになった。 (1)日本語は、「談話モダリティ」を具現化する文法形式として終助詞が高度の体系性を持って存在し、特に話者の情報領域への帰属を表す「よ」と話者・聞き手の情報の共有を表す「ね」が会話進行に重要な役割を果たしている。 (2)これに対して韓国語は「談話モダリティ」を具現化する文法形式が存在するものの、日本語に見られるような高度の体系性は見られない。然し、韓国語においては、日本語以上に「命題」により近い「モダリティ」を具現化する形式が高度に発達しており、特に「証拠性(Evidentiality)」を表す接辞の中には日本語に対応する形式が存在しないものもある。 (3)上記の相違は日韓語の文法構造の相違にとどまらず、文法構造と談話(情報)構造の相関に関する両言語の相違を反映していると考えられる。 本年度は、言語処理学会年次大会、社会言語学会秋季大会、日本認知言語学会年次大会、International Cognitive Linguistics Association,太平洋・アジア言語・情報・計算学会(PACLIC)等において上記を中心とする研究成果を発表した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 堀江 薫: "膠着語における文法化の特徴に関する認知言語学的考察"認知言語学論考. 1. 89-131 (2001)
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[Publications] Horie, Kaoru: "Complement Clauses"Handbook of Language Typology and Language Universals. 2. 979-993 (2001)
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[Publications] Horie, Kaoru & Debra Occhi: "Cognitive Linguistics Meets Language-Contact"Cognitive-Functional Linguistics in an East Asian context. 13-33 (2001)
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[Publications] 堀江 薫: "言語類型論的研究と文化人類学的研究の接点"社会言語科学会第8回研究大会予稿集. 275-277 (2001)
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[Publications] 守屋哲治・堀江薫: "時間関係副詞体系に関する言語類型論的研究"言語処理学会第7回年次大会論文集. 409-412 (2001)
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[Publications] Moriya, Tetsuharu & Horie, Kaoru: "Grammaticalization and Semantic Typology : Time-relationship adverbs in Japanese, Korean, English and German"Proceedings of the 16th Pacific Asia Conference. 348-357 (2002)
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[Publications] 堀江薫・佐藤滋: "Cognitive Functional Lingnistics in an East Asian Context"くろしお出版. 339 (2001)