2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610665
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Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
高野 照司 北星学園大学, 文学部, 助教授 (00285503)
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Keywords | 韻律変異 / レジスター / 意見対立 / 日本語 |
Research Abstract |
本年度の研究実績は以下の4点にまとめられる。 (1)研究代表者による昨年度の研究成果として、日本語の否定表現「ない」に付与される韻律的強調は、言語環境的・談話文法的・相互作用的次元などを拘束要因とする規則的変異性を内包していることが明らかとなった(Takano, 2002)。今年度はこの研究成果をさらに拡充させる目的で、友人同士の日常会話、政治討論会、ニュース報道などの異なるレジスターを分析資料に、社会場面ごとに母語話者が講じる韻律的ストラテジーの分析を行った。この分析結果をまとめた論考「Variation in Prosodic Focus on the Japanese Negative "-nai" : Issues of Language Specificity, Interactive Style, and Register」は現在査読中である。 (2)日本語、アメリカ英語、フランス語、スペイン語の各語における否定語(または否定辞)に付与される韻律的強調に関して、米国アリゾナ大学認知科学大学院研究員Malcah Yaeger-Dror博士との共同研究として言語間対照分析を行った。現在、分析作業を継続しており、年内には論考を完成させる予定である。 (3)女性管理職の職場での自然談話の分析から様々なパワー獲得のための談話的方略が明らかとなった。韻律の研究からは離れるが、女性管理職の命令・指示行為に特化し、その使用脈絡を系統的に分析に組み込んだ研究を行ない、今年度中に『講座社会言語科学』第4巻の章「パワーと言語変異〜女性管理職のパワー方略を中心に〜」として出版される予定である。また、本論考の元となった英語論考は、2004年末までに、学術雑誌Journal of Pragmaticsに掲載予定である。 (4)日本語の日常会話、政治討論、職場での会議の三レジスターにおいて、特に意見の対立が表面化している場面を文字起こしし、それに韻律情報(強調、ポーズ、文末ピッチ、ピッチの応化など)を加えるデータベースを作成した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] SHOJI TAKANO: "Strategic Uses of Directives by Professional Japanese Women in positions of Authority & Leadership"Journal of Pragmatics. (未定). (2004)
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[Publications] 高野照司: "講座 社会言語科学 第6巻 社会行動システム(片岡邦好(編))"ひつじ書房. 25 (2004)