2002 Fiscal Year Annual Research Report
対称性のくずれと情報生成―日本語、ヒンディー語及び英語の語順と統語構造―
Project/Area Number |
13610669
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Research Institution | Momoyama Gakuin University (St.Andrew's University) |
Principal Investigator |
有川 康二 桃山学院大学, 文学部, 助教授 (80299023)
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Keywords | 生物言語学 / 情報 / エントロピー / 生成文法 / 日本語 / ヒンディー語 / MIT / 寺村秀夫 |
Research Abstract |
当該補助金により現在進行中の著作は以下の三件である。 (1)Handbook of Diagnostics in Generative Syntax (2)『日本語文法問答-実用文法と生成文法の対話』 (3)『日本語学概論-生物言語学への招待』 (1)に関しては、現在出版社に提出する原稿の最終見直しを行っている。本年度の秋学期よりマサチューセッツ工科大学(MIT)への研修(一年)を予定している。MITのNoam Chomsky教授、宮川繁教授、David Pesetsky教授らから出版に関する何らかのアドバイスをもらい、できればMIT Pressとの出版の交渉を言十画している。 (2)は寺村秀夫による『日本語の文法(上・下)』に中の約100題の問いに対して、寺村に導かれながら私なりの解答を提出するという体裁をとる。その際、生成文法(自然言語に対する生物言語学的アプローチ)との接点を示しながら、寺村の目指した実用文法を、生成文法で補強していくというやりかたを採用している。現在、本文の執筆を終わり、これから参考文献、及び索引の作成に取りかかろうとしている段階である。出版社は未定。 (3)は、自然言語研究をより広い観点から概論しようとするものである。すなわち、一般的に自然現象に関する観測や理論形成に関してどのようなことが問題となるのかということを、自然言語を材料として考えていけるようなものを準備している。自然言語は脳という自然が創造した自然物の状態の一つである。従って、自然言語の研究は、自然法則の探究にほかならない。言語研究を自然法則探究の新しい形として提出する。その際、これまでの物理学や化学などが自然をどのように観測し、理論を形成してきたかという基本的な方法論を学ぶことが必須になるが、なかでもエントロピーを用いた情報理論と自然言語研究(Uriagereka(2002)参照)との統合を将来的に見据えた著作を準備している段階である。
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