2002 Fiscal Year Annual Research Report
時間表現・空間表現の意味の構造化に関する日本語と中国語の対照研究
Project/Area Number |
13610676
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Research Institution | The National Institute for Japanese Language |
Principal Investigator |
井上 優 独立行政法人国立国語研究所, 日本語教育部門・第1領域, 主任研究員 (30213177)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
定延 利之 神戸大学, 国際文化学部, 助教授 (50235305)
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Keywords | テンス / アスペクト / ムード / タ / 日本語 / 中国語 / インタラクション / 情報のアクセスポイント |
Research Abstract |
平成14年度は,中国語の書きことばのテキスト入力を継続するとともに,内容的には,主に次のことがらについて考察をおこなった。 (1)文法カテゴリーとしてのテンスがあるか(日本語)ないか(中国語)ということが文法システム全体にどのような影響を及ぼすか[井上]。 (2)「話し手と環境とのインタラクション」は,言語表現とりわけ空間表現・時間表現にどのような影響を与えるか,またそこに言語差は存在するか。[定延] (1)の考察の結果,日本語と中国語に見られる次のような現象は,文浩カテゴリーとしてのテンスの有無と関連があることがわかった。(1)アスペクトの基本的性格の違い,(2)「のだ」と"是〜的"構文の使われ方の違い,(3)非自律的変化を表す自動詞相当表現の構造の違い,(4)描写型形容詞文における程度副詞の使用に関する違い,(5)「条件-結果」を表す複文における接続副詞"就"の使用。 また,(2)の考察の結果,現代日本語では「知識」(共有可能性が高い言語情報)と「体験」(共有可能性が低い言語情報)とが言語表現上表し分けられていることが明らかになった。そのことは,特に「空間的分布を表すかに見える頻度語彙」,「モノの存在場所を表す『で』」,「発見を表すかに見える『た』」,「限定を表すとりたて詞『ばかり』」,「情意表出表現」において顕著に認められる。また,「知識」と「体験」の区別に関して,中国語は日本語と異なる様相を示すことも明らかになった。 これらの成果のうち,論文としてまとまったものを報告書(A4判,200ページ)の形で刊行した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 定延 利之: "時間から空間へ?-<空間的分布を表す時間語彙>をめぐって-"『シリーズ言語科学4:対照言語学』(東京大学出版会). 183-215 (2002)
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[Publications] 井上 優: "テンスの有無と文法現象-日本語と中国語-"『次世代の言語研究II』(筑波大学現代言語学研究会). 25-39 (2002)
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[Publications] 定延 利之: "「インタラクションの文法」に向けて-現代日本語の疑似エビデンシャル"『京都大学言語学研究』(京都大学言語学研究編集委員会). 第21号. 147-185 (2002)
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[Publications] 井上 優: "文接続の比較対照-日本語と中国語-"『言語』(大修館書店). 32巻3号. 54-59 (2003)
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[Publications] 井上 優: "「のだ」文と"的"構文"『中国語学』(日本中国語学会). 250. (2003)
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[Publications] 定延 利之: "モノの存在場所を表す「で」"『柴谷方良教授還暦記念論文集』(仮題,くろしお出版). (2003)