2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13610684
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
時實 早苗 千葉大学, 文学部, 教授 (80070514)
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Keywords | j女性 / 明治時代 / キリスト教 / 日米関係 / 書簡文学 / 伝記 / 国際研究者交流(フランス) |
Research Abstract |
今年度は主として初期(1886年-1905年)の根室発の書簡を整理し、手書き文字を判読し書き写し、データ化し、また主要な書簡を日本語に翻訳した。これは将来日本語による伝記の資料とするためである。 またその書簡をもとに、研究論文"Letters from Nemuro"をほぼ完成させた。この論文の一部は2002年6月、米国コネティカット大学で開催される、バークシャー女性史学会で発表の予定である。その後はUnsettling Encounterという書物に一論文として収録される予定であるが、書物の編集が遅れているので、それ以前に雑誌に掲載される可能性がある。 論文の内容は、書簡を通じて明治初期のキリスト教宣教の実態、キリスト教および外国人宣教師との接触に対しての日本人の反応を読みとり、主として明治期の女性がどのような刺激をうけ、それが日本の女性史にどのような意味をもったかを探るものである。 さらに、2002年2月、海外共同研究者であるパリ大学のヴィクトリア・ムサロン教授を千葉大学に招聘し、Putting Events into Lettersと題する講演会を開催した。また、共同で、研究課題の対象であるハリエット・カーペンダーの足跡をたずね、沖縄で資料調査、および那覇バプテスト教会での聞き取り調査をおこなった。 次年度に関わる研究計画としては、女性史学会に出席する機会を利用し、ハリエット・カーペンダーの故郷であり、書簡の宛先でもあった、マサチューセッツ州ニュートンセンター神学校を訪れ、本国における彼女の足跡を調査する予定である。また、上記の論文を完成させるとともに、具体的に日本語による伝記の執筆にとりかかる予定である。それに関連して、当時宣教師をささえた「バイブル・ウーマン」の実態という問題が浮上し、その研究もすすめたいと思っている。
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