2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13620013
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
水林 彪 東京都立大学, 法学部, 教授 (70009843)
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Keywords | 民法 / 商法 / フランス法 / ボアソナード / 穂積陳重 / 梅謙次郎 / 土地所有 / 資本 |
Research Abstract |
2001年3月に公刊された拙論「日本近代法における民事と商事」をふまえ、2001年度の科研費の補助を得て、「民商二法の関係についての比較法史学的研究」を進めた。研究は、(1)フランス法・ドイツ法および(2)それを継受した日本近代法における民商二法問題の両面から進めた。このうち、(1)については、関連論文の読解を進めている段階である。(2)については、日本の私法学の出発点をなしたボアソナード法学の研究、および、明治民商二法の編纂に深くかかわった穂積陳重、梅謙次郎の法学・法思想の検討を進めた。このうち、ボアソナードおよび穂積の法思想に関する研究成果は、拙論「法秩序の十九世紀」(島薗進ほか編『岩波講座近代日本の文化史」2コスモロジーの近世、岩波書店、2001年11月)において展開した。ボアソナードと穂積とは、対蹠的ともいえる法思想を有している。前者がなお古典的な近代法観念を堅持し、civilの思想を基調としているのに対して、後者は、19世紀後末期の進化論思想の影響を強く受け、財産法の意義を資本主義的競争における勝者の財産を保護する点に求めるなど、commercialの思想を基調としているからである。このような知見を基礎として、今後引き続き、上記テーマの研究を進める。民商法論を基軸に、土地所有と資本の法システム全般の日本近代法的特質解明を目的としたいと思う。
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Research Products
(1 results)