2003 Fiscal Year Annual Research Report
コモンズ環境法論構築のための北米・カナダにおける先住民コモンズの調査研究
Project/Area Number |
13620015
|
Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
平松 紘 青山学院大学, 法学部, 教授 (40082698)
|
Keywords | コモンズ / インディアン / デネー / 環境権 / 土地慣習 / 土地補償 / 漁業権 / 太平洋岸インディアン |
Research Abstract |
今期は昨年とくに分析したプリチッシュ・コロンビア・インディアンのセクウェッブム民族ネコンリス・バンドと林地開発のケースの根底にある1973年連邦裁判所によるデネーの土地所有権回復の意味に関連して、土地統治権の主張の問題である1990年ルビコン紛争を中心に分析を行なった。そのアルバータ州北西部ルビコンレイクのインディアン地区における皆伐を契機に展開した土地所有と自治権の争いは、「ヌナブート」自治領・新準州の設立の問題が関連しており、先住民のコモンズ(生活の場、狩猟地や埋葬地)がヌナブート境界にフォローされるという問題として様々の土地紛争や訴訟が起きている。この問題は、先住民自治政府形成の意味を自然環境の保全問題(単に環境問題ではなく先住民の生活の場としてのコモンズの保全問題)として、また、土地を有しない都市部あるいは自殺やアルコール中毒の問題を抱える先住民の問題として、更なる検討を必要としている。 もう一つ今期は、太平洋岸地域における「太平洋岸インディアン」について、オーストラリアとニュージーランドの沿岸先住民と漁業権との比較的視点から、とくに鮭を資源とする沿岸先住民ハイダ、ヌートカ、ベラークーラなどと森・海・川の自然保護に関する法的関係について検討した。太平洋インディアン地域におけるトーテムポールが象徴する先住民コモンズとしての漁業権は、現在国連で検討中の「先住民族権利宣言」案にもある「資源」という包括的な環境についての先住民権利と地域社会優先の新環境ガイドラインを示している。 (以上中間報告、2004年度にこれらの分析に加え数ケース分析を整理し、まとめ論文化する。)
|