2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13620022
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡村 忠生 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (30183768)
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Keywords | 組織再編 / 無形資産 / 知的財産権 / 課税繰延 / 法人組織税制 / 源泉徴収 / 租税優遇 / 限定解釈 |
Research Abstract |
本年度は、研究の初年度として、主に法人組織税制に関する次のような基礎的研究を行った。 第一に、法人組織税制が萌芽的な発展を見せた1920年代アメリカにおける諸判例を検討し、制定法の根拠なしに組織変更における非課税が認められたケースがあること、および、非課税が認められあるいは認められなかった理由付けを、明らかにした。その結論を端的に述べると、実現主義という所得概念に関わる問題が、アメリカ法人組織税制の根本に横たわっているということになる。これは、わが国とは異なる事情であり、今後慎重な検討を要する問題である。 第二に、民事法と租税法との関連について検討を加えた。知的財産権は民事法上認められた権利であるが、法人組織変更を含む知的財産権の取引を租税法がどのように扱うかは、必ずしも民事法上の取引形式によって決定されてしまうわけではない。さらに、課税上においても、源泉徴収税の問題は、本来の法人所得課税とはかなり異なる側面を持っているため、統一的な処理には困難が予想される。 第三に、知的財産権等に実定法規が租税優遇を与えている場合に、当該実定法規を限定解釈できるかどうかを検討した。具体的には、租税法律主義の一般的な枠組みの下において、租税優遇規定だけに他とは異なる限定解釈を行うことができるか、仮に一般論としてそれが可能であるとしても、知的財産権等の無形資産に対する優遇措置については限定解釈が妥当かという二段構えで検討を行った。
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Research Products
(1 results)