2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13620022
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡村 忠生 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (30183768)
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Keywords | 無形資産 / 組織再編 / 損失 / 国際課税 / 知的財産権 / 取得価額 / basis / 法人組織税制 |
Research Abstract |
本年度は、研究の第2年度として、法人組織税制が、知的財産権をはじめとする無形資産の法人間取引に与える影響を分析するとともに、知的財産権の移転(国際移転を含む)の観点から、あるべき法人組織税制について検討を加え、次の中間的な結論を得た。 第一に、無形資産から発生する課税上の損失について、これを法的枠組みの中で明らかにするためのフレームワークの構築が、まず必要である。その中核にあるのは取得価額(basis)であるが、その算定に当たっては、次の観点が重要である。 ・無形資産の性質に基づく種類分け(パテント、トレードマーク、ノウハウ等)、 ・取得の形態 〓自己作成では、資本的支出の区分、研究開発費の処理 〓他者作成では、課税取引と非課税取引(適格組織再編、株式交換)の区別 ・課税上適切な償却方法および減損処理の開発(特に取得価額が時価でなかった場合) ・譲渡の処理(特に出資や分配の場合、および、株式交換により無形資産が法人ごと移転する場合) 第二に、国際課税の領域において、これまでは所得(利益)の管轄権配分が問題とされてきたが、損失については、必ずしも利益と対称的に配分することはできない。ソース・ルールの段階、および、外国税額控除の段階で、それぞれ適切な損失の扱いを制度化する必要がある。特に、総合課税が行われるかどうかは、損失計上の可否に大きく影響するが、この点に関する従来のルールは、無形資産を考慮せずに形成されたと考えられるため、事業活動または恒久的施設とされる閾値を再設定することも検討されるべきである。
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