2001 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツの個人情報保護法制における監督システムの研究
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13620034
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
山下 義昭 福岡大学, 法学部, 助教授 (20239990)
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Keywords | 個人情報 / 連邦データ保護法 / 監督官庁 / EU個人情報保護指令 / データ保護法の転換 / 現代化 / 連邦データ保護監察官 / 州データ保護監察官 |
Research Abstract |
ドイツでは、2001年5月に、連邦データ保護法の大改正があった。この改正は、主として1995年のEU個人情報保護指令の転換とデータ保護法の「現代化(Modernisierung)」に対応するものであった。この改正は、本研究のテーマである個人情報(個人データ)保護を目的としたデータ処理等の監督システムにも少なからぬ影響を与えた。この影響は、公的部門の監督にも見られるが、とくに民間部門の監督システムに、顕著に見られる。 影響の中身について簡潔に述べれば、これまでの監督官庁による、集中的、公的コントロール(監督)から、個人データを取り扱う民間企業による、分散的、自主的コントロールへのシフトということである。この要因となった法律改正の背景-同時にEU指令が出される背景にもなっているのだが-には、IT技術の発展とそれにともなうネットワーク杜会の進展等により、個人データを処理する企業等の事業者の数及び処理するデータ数が著しく増大し、監督官庁による-ドイツの場合州単位で実施される-十分な公的コントロールが事実上不可能に近いという事情があった。今回の改正はこのような事態に対応するという側面を持っている。 以上の知見は、関連文献、報告書等による他、平成13年度研究実施計画に沿って、2001年9月にドイツ(ボン、フランクフルト、ビースバーデン、デュッセルドルフ)で実施した、連邦データ保護監察官、ヘッセン州データ保護監察官、SCHUFA(ドイツ最大の民間信用情報機関)の法務部代表者等とのインタビュー(経済産業省の調査と共同で実施)によるところが大きい。
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