2001 Fiscal Year Annual Research Report
第二次世界大戦後のイギリス軍事法に関する考察-軍法会議改革の変遷を題材として-
Project/Area Number |
13620035
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Research Institution | Tsuyama National College of Technology |
Principal Investigator |
大田 肇 津山工業高等専門学校, 一般科目, 教授 (30203798)
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Keywords | イギリス / 軍隊 / 軍法会議 / ヨーロッパ人権裁判所 |
Research Abstract |
本年度は、「1996年軍隊法」および「2000年軍隊規律法」の制定によってもたらされる軍法会議の改革を調べることが主たる目的であったが、拙稿「イギリスにおける軍法会議・略式命令の改革-二つのヨーロッパ人権裁判所判決を契機として-」(原野・浜川・晴山編『民営化と公共性の確保』、法律文化社、2002年出版予定に収められる)で、その目的を達成できたと言えるであろう。その内容を簡単にまとめれば、イギリス政府が、軍隊の規律維持、特に上官の部下に対する指揮命令の有効性を如何に確保するかという課題に直面しながらも、ヨーロッパ人権条約違反とのヨーロッパ人権裁判所判決を回避するため、市民法原理を大胆に軍隊に導入しようとしていることである。2001年に制定された「2001年軍隊法」に関しては、時間不足で、十分に検討できなかった。来年度以降への、宿題となるであろう。この他、来年度以降の研究に関して述べるならば、上記のように改革を実施した軍法会議はヨーロッパ人権条約に適合していると、2001年1月と7月の2回にわたって、イギリス軍法会議控訴院は判決を下し、イギリス政府の努力が報われたかと思われたが、2002年2月に、ヨーロッパ人権裁判所は、再び違反判決を下した。この判決後、イギリス国防省は、すべての軍法会議を休廷させた(Guardian March1、2002)。今後の展開は、非常に興味深いものになるであろう。
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Research Products
(1 results)