2002 Fiscal Year Annual Research Report
国際法におけるウェストファリア・パラダイムの転換に関する調査研究
Project/Area Number |
13620037
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奥脇 直也 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (60108199)
|
Keywords | 国際法 / ウェストファリア・パラダイム / 領域性原理 / 現状承認原則 / 国際組織 / NGO / 実証主義国際法論 / 衡平原理 |
Research Abstract |
ウェストファリア・パラダイムの転換に関して、昨年度収集した資料などに基づいて、三つの側面から検討した。第1は国際組織の介在する法過程においてそれがどのような変容を受けるかであり、これは昨年作成した国際組織法教材を学生に読ませる形で、討議を試み、必要な加筆・修正を行った。なお来年度は国際組織(あるいはNGO)の民主的正当性の問題について、EU, WTO, IMF等を踏まえて、国際組織一般について考察を加える。第2は領域性原理の問題を、最近のアフリカ国境紛争について、とくに現状承認原則との関係で検討し、植民地独立を達成した新興アジア・アフリカ諸国におけるウェストファリア・パラダイムの定着について検討した。この中では領域を画する国境線の人為的設定と、国境線に囲い込まれた現地住民の「国民化」された人の帰属意識(自決権、部族的アイデンティティ)とのズレから生じる問題を視野にいれて、国際法上の現状承認原則の法規範性について検討した。次年度はさらにこの問題に人権、難民、人間の安全保障という観点からアプローチして、ウェストファリア・パラダイムの転換構造を明らかにする予定である。第3はウェストファリア・パラダイムを支えてきた実証主義国際法論の時間概念について批判的に考察し、ウェストファリア・パラダイムが修正される変化の過程における実証主義国際法論の内在的綻びおよびその修復原理の導入について理論的に検討した。次年度はこの研究を「衡平原理」の導入と法体系の不確実化という側面からさらに検討することとしたい。
|
Research Products
(2 results)