2004 Fiscal Year Annual Research Report
サイバースペースでの知的成果物の保護と利用促進のためのシステム設計に関する研究
Project/Area Number |
13620049
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
土肥 一史 一橋大学, 大学院・国際企業戦略研究科, 教授 (40099023)
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Keywords | 知的財産権 / 取引先 / 侵害警告 / 不正競争防止法 / 営業誹謗行為 / 比較法的研究 / 不正競争行為 / 営業上の信用 |
Research Abstract |
サイバースペースでの知的成果物の保護と利用促進のための最適なシステム設計を検討するため、研究最終年度においては、過去3ヵ年の研究成果を踏まえ、研究全体のとりまとめを行った。 まず、サイバー空間と対極をなす、リアルワールドにおける知的成果物の保護と流通の観点から、これまでビデオゲームを取り上げて、検討を行ってきたことから、今年度はその補完的研究として、音楽著作物の還流防止措置の検討を文化審議会著作権分科会の中で行った。次いで、ドメイン名問題であるが、昨年度JP2003-0001:MOTORUP.CO.JPの裁定を行ったので、その後の裁定との整合性を検討した。ついで、インターネット上でのコンテンツの流通を促進するためのツールとして、検索エンジンの重要性に鑑み、検索エンジンとハイパーリンクの関係を検討したが、今年度もこの検討を進めた。理由は、昨年暮れ、米国ではGoogleの検索エンジン誘導型広告(検索広告)と商標権侵害の可能性が論じられ、裁判所は侵害の可能性を否定したが、その後、欧州(フランス)ではGoogleの検索エンジン誘導型広告が商標権を侵害するという裁判所判断が相次いで示されたからである。ドイツでは、この問題は不正競争防止法上の問題として、下級審では結論が分かれている状態である。わが国では、未だ紛争はないものの早急に検討する必要があり、今後も検討が必要と考えている。今年度、特に検討を行ったのは、取引先に対する権利侵害警告の問題である。この事案は、松下電器がソーテックに対してした、ジャストシステムの一太郎が特許権を侵害していると警告した事案としても有名になったが、この問題は知的成果物の保護と流通の促進という観点からも極めて興味深いものがある。この研究成果は、近く、公表される予定である。
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Research Products
(3 results)