2001 Fiscal Year Annual Research Report
特殊法人及び金融機関の経営破綻における倒産処理法上の諸問題
Project/Area Number |
13620053
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山本 弘 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (20143349)
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Keywords | 特殊法人 / 破産能力 |
Research Abstract |
等しく高度の公共性を有する国際空港の設置管理事業を目的とするものであっても、特殊法人形態を採る新東京国際空港公団と異なり、関西空港ではその株式会社形態が採用されている(特殊会社)。株式会社には会社更生法が適用され、したがって仮に関西空港会社の財務が極めて悪化したとしても、会社更生手続により新会社の設立、新東京国際空港公団あるいは受け皿として新設される公団への事業譲渡などを更生計画で定めることにより、空港の設置管理事業そのものの維持存続を図ることが可能であることが、かかる公共性の高い事業を営む組織体に株式会社形態を採用することを立法者に可能とした制度的な前提であったと思われるが、特殊法人を含むすべての法人に利用可能な再建型倒産処理手続である民事再生法が平成一二年に施行されたことにより、新東京国際空港公団の破産能力の有無に影響が生ずるかという問題が生じたので、この点に関して若干の検討を行った。公団が一般先取特権を持つ債券の発行により資金調達している場合、財務体質の改善に不可欠な債券の償還条件の変更は民事再生計画ではできないこと、他の公団への事業譲渡は実質公団の解散(清算)をもたらすところ、かような措置が立法措置を待たずして裁判所の許可のみで可能であるとは考え難いことから、特殊法人に破産能力はないとの私見に影響しないとの結論に至った。
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