2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13620057
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
棚村 政行 早稲田大学, 法学部, 教授 (40171821)
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Keywords | 家事調停 / 調停前置主義 / 子の監護 / 面接交渉 / ミディエーション |
Research Abstract |
今年度は、イギリスにおけるリーガルサービス委員会の調停の調査につき検討をした。とくにイギリスでは1996年家族法でミディェーションの活用が謳われ、その実績と課題等が問題とされていた。イギリスの調査では、1997年9月から2000年4,月までで1055人の聞き取りが行われ、弁護士からのヒヤリングも実施された。その結果、ミディエーションが利用された85%は、子の監護養育、面会交流に関するものであり、33%が財産分与等経済問題に関係していた。男性の62%が交渉をし和解をしたいと考え、女性の42%も積極的であったが、11%のみが消極的な態度をとっていた。相手方に対する強い不信感をもっているケースは話し合いが困難なケースといってよい。ただ、ミディェーションが成功したケースの67%は子どもの問題の事件であり、ミディエーションが大変有益だったというのが35%、ミディエーターがよく状況を理解してくれたというもの51%、71%がこの問題解決にミディエーションを勧めたいと高い評価が与えられていた。子の監護事件は45%、財産の事件は34%が合意に達しており、満足度、合意成立率も高かった。この結果により、イギリスでは調停前置主義や出席の義務づけの可否が検討されている。イギリスでのミディエーション調査の方法、ヒヤリング、データの解析の手法を参考にして、日本の家庭裁判所での調停について、弁護士、調停委員、調停当事者からのアンケート調査を実施した。
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