2001 Fiscal Year Annual Research Report
子どもの権利主体性を前提とした子どもの意見表明権を家族法の中でいかに定着させるか
Project/Area Number |
13620061
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
二宮 周平 立命館大学, 法学部, 教授 (40131726)
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Keywords | 子どもの自己決定 / 意思表明権 / 親権 / 手続保障 / 面接交渉権 / 合同面接 / 聴聞義務 |
Research Abstract |
本年度は、主として、日本の家庭裁判実務において、子の意見表明権がいかに取り扱われているかを、家事審判官、家裁調査官、弁護士、研究者の文献およびヒアリングから、またこれまでの家事審判例から、調査した、まず家事審判規則54条、70条では、親権者、監護者の決定、変更、面会交流については、15歳以上の子の意見を聴取しなければならないとされているが、15歳未満の子でも、家裁調査官が子の意向調査をしている。低年齢の場合には、箱庭作りや家族の絵を描かせる等のことから、子の気持ちを推し量り、やや年齢が上がると、調査官が子と歩きながら、遊びながら、子のリラックスできる雰囲気の中で気持ちを聞いたりする。何らかの形で子の意思を反映させようとする努力が積み重ねられており、法規定にはない実務の運用による保障といえる。 しかし、このような間接的な方法、心理解釈的方法が望ましいとはいえない。調査官、審判官の中には、これらの問題について、子と父母を同席させて、子の反応や意見表明から父母が自らを省み、自主的に合意に達するようにしたり、調停自体も、夫、妻を個別に呼んで意見を聞くのではなく、同席させ、双方の話し合いの中から合意が形成されるようにするなどの工夫をする人が見られる、弁護士にも、依頼者の利益、感情を優先するのではなく、カウンセラー的にかかわろうとする人もいる、当事者が暴力をふるわない、冷静に対応できることが前提ではあるが、こうした手法がもっと活用されてよいように思われる。これが普及しない理由はどこにあるのか、子の発達の過程で、こうした経験がどのような意義を有するのか、さらに追求していきたい。他方で、子の意見表明権を保障する規定を設けている国の運用と比較検討する必要もある。これらが次年度の課題となる。
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