2003 Fiscal Year Annual Research Report
子どもの権利主体性を前提とした子どもの意見表明権を家族法の中でいかに定着させるか
Project/Area Number |
13620061
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
二宮 周平 立命館大学, 法学部, 教授 (40131726)
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Keywords | 監護者指定 / 親権行使 / 意見表明権 / 里親 |
Research Abstract |
今年度は、昨年、資料収集したり、ヒアリング調査をした内容を原稿化する作業を中心に行った。主要なテーマは、子どもの権利主体性を前提とした子どもの意見表明権を家族法の中にいかに定着させるかであり、その具体的な展開として、子が親権者の親権行使が不適切である場合に、児童福祉法上の措置として里親に養育委託されていたり、子自身が親元から離れ、祖母や伯母など親族に引き取られている現実に対して、里親や父母以外の親族の監護を安定化させるために、子の監護者指定の規定を広く適用する理論的根拠を追求すると同時に、親権者の親権行使の適切さを判断する基準として、子の意向・意思・意見を位置づけることの可能性を追求した。子の監護者指定は、本来、離婚後に親権と監護権が分離する場合の規定であるが、分離の必要性は離婚の場合に限らないこと、親権者変更・親権喪失などの申立権が親族に認められていることなどから、父母以外の者に自らを監護者に指定することの申立権を認めることができるとした。監護者指定は、親権者の親権を喪失させたり、停止させるものではなく、親権者の適切な親権行使の可能性が回復すれば、親権者と監護者双方が監護教育義務を履行するなど柔軟な対応ができることに利点がある。子どもを権利主体と捉えるならば、親権についても、真の権利者は子であり、親は義務の主体となる。権利者の意思こそ義務履行の適切さを判断する基本であり、この優越性があって初めて、身体的、精神的、経済的優位にある親と対等な立場に立つことが可能になる。親との対抗関係を構築することが、子の利益を守る手段として有効であることを検討した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 二宮周平: "子の監護者指定(民法766条)の積極的活用"立命館法学. 287号. 192-236 (2003)
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[Publications] 二宮周平: "父母以外の者を子の監護者に指定することの可否"判例タイムズ. 1119号. 106-115 (2003)
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[Publications] 二宮周平: "元里親を子の監護者に指定することの可否"新しい家族. 43号. 39-45 (2003)