2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13620074
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Research Institution | Toin University of Yokohama |
Principal Investigator |
竹村 典良 桐蔭横浜大学, 法学部, 助教授 (60257425)
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Keywords | カオス / 複雑系 / フラクタル / 非線形 / 予測不可能 / 制御不可能 / 精神病 / 危険性 |
Research Abstract |
社会的なものの領域は非線形的であり、予測不可能で、自発的で、創造的で、制御不可能である。これらのシステムの作動を科学レベルでより良く理解するために、新しい科学が必要であり、カオス理論はそれを代表するものである。 まず、精神病は、フラクタルの形態を呈する。フラクタルは空間に関るが、空間は正確に測定することができない。所与の客体の間の空間は、観察者の見方と測定単位によって必然的に変化する。精神病はこの空間のどこかにありそのありかが仮定されるが、それが発出する点を明確に定めることができないがために、精神病の正確な位置と特質を確かめることはできない。一定点から精神障害に携わることができるかもしれないが、選び出された点は一つの可能な場所にすぎない。精神障害は、人間を差異化する方法、すなわち、人間の価値を類別する方法として、私たちの社会的認識の中に宿るアイディアあるいはイメージである。 次に、危険性について、性向、パターン、サイクル等が見出されるとしても、これらは可能性の表出にすぎず、持続的な人格特性ではない。性向が時折現れるという事実は、あらゆる事物の永続的で連続的な特徴である。しかしながら、所与の時間に出現する特有の性向は他の諸要因に大きく依存する。カオス理論は、この可能性の状態と初期状態に対する高感度の依存としての誘因の必要性に注目する。状態のわずかな変化は、時間の経過とともに、そのような誘因がなかったとしたら生じていたであろうものとまったく異なる行動の出現を帰結する。個々人は混乱に対して高感度であるとすれば、その混乱は他のパターンの思考、感覚、行動への「ジャンプ」を促進するであろう。とりわけ精神病と診断された者による暴力的傾向のある行為を減じあるいは根絶しようとするならば、まず始めに、問題となっている精神障害者の評価ではなく、危険性を惹起する要因を明らかにしなければならない。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 竹村 典良: "21世紀における犯罪・犯罪学・犯罪統制"罪と罰. 39・3. 5-12 (2002)
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[Publications] Noriyoshi Takemura: "Chaos/Complexity in Juvenile Crime Problems"Research Bulletin (Toin University of Yokohama). No.9. 121-129 (2002)
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[Publications] Noriyoshi Takemura: "Conflict as Chaos/Complexity and Restorative Justice in Japanese Context"Toin Law Review. 9・1. 1-23 (2002)
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[Publications] Noriyoshi Takemura: "Why do Juveniles out burst in Postmodern Conditio?"佐藤可先生古論祝賀論文集・日本刑事法の理論と展望. 下巻. (2002)