2002 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト開発主義時代における多民族国家の民主化移行問題
Project/Area Number |
13620078
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
土佐 弘之 東北大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70180148)
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Keywords | 民主化 / 和解 / 正義 / ポスト開発主義 / 人権 |
Research Abstract |
世界システムの周辺部に生じる政治的諸問題を研究テーマとして、とくに東南アジアにおける権威主義体制の成立・維持・崩壊過程や地域紛争の発生・解決過程を中心に研究を進めてきた。また同時に、こうした周辺部の問題がグローバル・ガバナンス、国際レジーム(特に国際人権レジーム)の形成・変容に与える影響、そして国際人権レジームの強化が周辺部におけるローカル・ガバナンスに与える影響について研究を進めてきた。昨年度から今年度にかけて、内戦や抑圧的な政治体制の下での虐殺など著しい人権侵害に対して、和平後または民主化後、どのように対応すべきかといった、いわゆる「(民主化)移行期における正義(transitional justice)」問題についての研究を進めている。南アフリカの真実和解委員会などの真相究明委員会形式のものや旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所などの国際刑事裁判所形式のものなど、各事例をサーヴェイしながら、正義/和解・処罰/許しといった問題について政治学的な角度から検討を加えており、最終年度の報告書作成に向けて準備をしている。また、その研究過程における副産物的な研究成果として、論文「《条件付き歓待》の国際政治」、「まなざしのグローバル・ポリティクス」などを公刊した。いずれも社会構築主義アプローチによる国際関係論研究(批判的安全保障研究)と分類されるものであるが、最終年度に向けて、これらの研究成果を単行本化する形で編集しなおす作業も進めている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 土佐 弘之: "国際難民レジームの政治力学"国際人権. No.13. 27-34 (2002)
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[Publications] 土佐 弘之: "まなざしのグローバル・ポリティクス"現代思想. Vol.30-1. 82-101 (2002)
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[Publications] 土佐 弘之: "ジェノサイドとイノセンスとのアイロニカルな関係"現代思想. Vol.30-8. 119-127 (2002)
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[Publications] 土佐 弘之: "《条件付き歓待》の国際政治"現代思想. Vol.30-13. 94-109 (2002)
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[Publications] 土佐 弘之: "「テロリズム」の語られ方"現代思想. Vol.31-3. 80-99 (2003)
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[Publications] 土佐 弘之: "解説「高潔な戦争の仮想化とラディカルなヒューマニズム」マイケル・イグナティエフ『ヴァーチャル・ウォー』"風行社(所収).