2003 Fiscal Year Annual Research Report
外国人多住都市における紛争解決メカニズムと都市の危機管理
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13620085
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Research Institution | HITOTSUBASHI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
梶田 孝道 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (10133357)
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Keywords | 外国人 / 外国人政策 / 外国人集住都市 / 外国人多住都市 / セグリゲーション / 多文化共生 / 日系人 / 日系ブラジル人 |
Research Abstract |
1、研究計画に従い、外国人集住都市の実態把握と問題解決に向けた取り組みの把握に努めた。主要な調査対象である愛知県豊田市と静岡県浜松市等で、自治体関係者を中心にインタビュー調査を行った。 2、外国人集住都市会議による問題解決と国への働きかけが、一つの転機に来ていることがわかった。各省庁の外国人政策はバラバラであり、外国人集住都市会議による働きかけが国レベルで十分には成果を生んでいない。現実の外国人問題とは別に、少子高齢化のなかで、外国人労働者の新たな受け入れや介護・看護労働者の受け入れの是非が国レベルで盛んに議論されているが、残念なことに、こうした議論には現在の外国人集住都市が抱える問題と対応が十分生かされておらず、両問題の関連付けが弱いことがわかった。 3、今後の「外国人集住都市会議」の動向についてであるが、本年度は豊田市で実質的な政策のあり方をめぐって関係者間でシンポジウムが開催されたが、国への働きかけというよりは問題解決の方向に重心が向いている。これまでは自治体で可能なこと(教育、広報、住宅、保険等)についてのみ政策を考えるという姿勢が強かったが、典型的な外国人集住団地である保見団地を抱える豊田市では、外国人の生活全般を規定する労働実態、特に労働者派遣等について触れることなく自治体行政は困難ということで、その総元締めであるトヨタ自動車に参加を求め、問題解決にあたるという新方式が登場している。この問題に対して実質的に責任をもつ大企業や関連会社をも含めた問題解決は注目に値する。 4、本年度から製造業分野での派遣法の解禁がなされたが、外国人雇用の変化を見極めるため、業務請負業者組合等にインタビュー調査を実施した。しかし、この法改正によって業務請負業者から派遣業者へという形で単純に推移するものではないことがわかった。 5、以上の調査と知見をもとに報告書を作成中である。
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