2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13620093
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Research Institution | SAITAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山田 満 埼玉大学, 教養学部, 教授 (50279303)
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Keywords | 東ティモール / 国民統合 / 国家建設 / 開発政策 / 教育政策 / 平和構築 / 言語問題 / 復興・開発支援 |
Research Abstract |
本課題研究の最終年である2004(平成16)年度は、報告書作成を前提にした計画を立てた。まず4月には1999年の自由で民主的な総選挙を経験したインドネシアの2回目の総選挙が行われ、その後行われた7月の大統領選挙との関連も含め調査を行った。特に東ティモール騒乱に関わりのある大統領候補者もでており、対東ティモール政策への影響も含めて調査を行った。11月に東ティモールを訪問し、独立2年を経た国家建設の状況と国民統合に影響を及ぼす諸課題の調査を行った。 2004年は国連(国連東ティモール支援団:UNMISET)と日本の自衛隊が撤退する年であった。UNMISETは規模縮小を行って1年間の滞在延長になったが、自衛隊は完全に撤退した。1999年騒乱後の国際社会支援の象徴であった国連のプレゼンスの低下を受けて東ティモールの国家建設はどのように進展していくのかを調査する一方で、他方で国民国家としての東ティモールの国民統合がどのような状況下にあるのかを調査した。また併せて、マレーシアの国家建設と国民統合プロセスとの比較を行った。 昨年の研究実績報告書では、今後の東ティモールの紛争再発への構造的要因と引き金要因を類型化した。構造要因では、24年間の実効支配を行ってきたインドネシアへのトラウマ問題を指摘したが、それ以上に経済復興におけるインドネシアの存在は大きく、経済関係への依存が、政治・安全保障への関係修復を促進していた。雇用をインドネシアに求める若い世代の増大は、インドネシア語の存在感を高めている一方で、公用語のポルトガル語習得への意欲を全般的に下げていた。引き金要因では、特に次期選挙に向けた国内の政治対立をあげることができる。独立達成を支えたフレティリン崇拝は終わり、公用語問題、経済問題を争点にした世代間闘争、地域間闘争などが複雑に絡みあった政党の再編と混乱が予想される。
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Research Products
(2 results)