2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13620097
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
我部 政明 琉球大学, 法文学部, 教授 (60175297)
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Keywords | 安全保障 / 9・11 / 前方展開戦略 / 日米関係 / 同盟関係 |
Research Abstract |
本研究の目的は、対立から和平へのプロセスを歩む朝鮮半島を軸に、北東アジアのおける米軍の兵力構成(force structure)の変化要因を説明し、その上で変化可能性のシナリオを提示し、それに対応する米軍に受け入れの同盟国の選択肢を探ることである。 冷戦期において共通の脅威の下で形成・維持されてきた同盟関係は、第一に軍事的な考慮、第二に経済的な考慮が必要とされてきた。ポスト冷戦期を経て、テロリストが米本土の中枢を直撃した9・11後の国際社会において、共通の脅威認識を維持するのは容易ではなく、同盟関係の質的転換が進もうとしている。具体的には、兵力数、規模、防衛力の構成する部隊編成が、同盟国の間での協議を必要とされる。特に兵力構成の変更は、基地の態様の変化を伴うだけにそれぞれの国内政治の影響に晒されている。この動きの把握は、最終年度においても実施する予定である。 今年度は、計画書で記載した米国での調査を変更して、イラク攻撃をめぐるNATO諸国との動向の把握に努めた。特に、ロンドンにおいてIISS(英国国際戦略問題研究所)、ベルリンにてSWP(ドイツ国際安全保障研究所)とDGAP(ドイツ外交問題評議会)を訪問し、9・11後の世界秩序への動きについて意見交換を行なった。 また、国内においては、北東アジアの安全保障問題に詳しい李鍾元氏(立教大学教授)を米軍基地のある沖縄に招き意見交換を行い、シンポジウムを通じて、本プロジェクトで得た研究成果の一部を公開した。東京に出張して、日本の安全保障専門家との意見交換を行い、日本の視点を把握する上で有意義であった。 さらに、昨年度に収集した公文書資料の資料整理を行い、前方展開戦略の歴史的変遷に関する分析をすすめた。次に、現状分析を行うために、米国内で刊行されている政策志向の報告書を収集し、比較分析を行うと同時に、雑誌・新聞報道を収集・蓄積した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 我部政明: "返還から30年、講和から50年の沖縄"世界週報2002年5月21日号. 83・19. 6-9 (2002)
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[Publications] 我部政明: "米軍基地はどうなったのか"軍縮問題資料2002年7月号. 261. 14-19 (2002)
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[Publications] 我部政明: "日米安保を考え直す"講談社(現代新書). 206 (2002)