2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13630009
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡田 章 京都大学, 経済研究所, 教授 (90152298)
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Keywords | 協力 / 提携形成 / 組織 / ゲーム理論 / 交渉ゲーム / 進化ゲーム / ナッシュ均衡 / 地球温暖化問題 |
Research Abstract |
本研究の目的は、それぞれが固有の価値を追求する複数の経済主体の間でいかにして自発的な協力関係が実現し安定な提携形成へと発展するか、その条件とメカニズムをゲーム理論の新しい分析手法を用いて考察することである。平成15年度の研究実績は以下の通りである。 (1)協力行動と提携形成の非協力交渉ゲームモデルの構築と分析 経済主体の提携形成に関する動学的な非協力交渉ゲームモデルを構築し、ナッシュ均衡理論を用いて協力行動と提携形成の可能性およびその条件を解明した。最終年度はこれまでの研究成果の集大成を行い一般協力n人ゲームの非協力交渉モデルを構築した。主要結果は、交渉モデルの均衡結果はナッシュ交渉解が協力ゲームのコアに属する場合、プレイヤー全員の提携が成立しナッシュ交渉解による利得分配が合意されるというものである。この結果によって、フォン・ノイマンとモルゲンシュテルンの研究以後、独立に研究されてきた非協力ゲーム理論と協力ゲーム理論を統一する理論の構築が可能であることが示された。また、理論予測を検証するための交渉ゲーム実験の研究を総括した。 (2)組織形成プロセスの進化ゲーム理論的分析 進化ゲーム理論を用いて経済主体による組織形成の長期的均衡状態を分析し、協力のインセンティブの多様性が組織の進化的安定性に及ぼす影響を解明した。 (3)研究成果の総括と研究報告 国内外の研究者と当研究課題で得られた研究成果について研究討論を行い、今後の研究課題を検討した。応用研究として「地球温暖化問題における国際協力の可能性」を考察し、京都議定書における温暖化ガス排出削減量の国際的合意形成に関する研究を国際応用システム研究所(IIASA)で開催された国際ワークショップ"Formal Models in Negotiations"(2003年6月)で報告した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Akira Okada, Eyal Winter: "A Noncooperative Axiomatization of the Core"Theory and Decision. 53・1. 1-28 (2003)
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[Publications] Akira Okada: "A Market Game Analysis of International CO2 Emissions Trading : Evaluating Initial Allocation Rules"Takamitsu Sawa (ed.), International Frameworks and Technological Strategies to Prevent Climate Change. 3-21 (2003)
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[Publications] Akira Okada: "International Negotiations on Climate Change : A Non-cooperative Game Analysis of the Kyoto Protocol"Discussion Paper, Institute of Economic Research Kyoto University. No.579. 1-32 (2004)