2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13630011
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
新村 聡 岡山大学, 経済学部, 教授 (00167561)
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Keywords | アダム・スミス / 信用 / 銀行 |
Research Abstract |
平成15年度に、主として次の4点について研究を行った。 第1は、スミス経済理論を、「市場と政府」という経済思想の一般的枠組みの中において考察することである。スミスの信用論は、市場経済に固有の金融不安定性を認識しており、高賃金の経済論と結びついた有効需要把握とともに、重商主義者ジェームズ・ステュアートやのちのケインズの経済思想と共通する点があることを明らかにして、経済学史学会における報告も踏まえて論文「アダム・スミスにおけるケインズ的問題」を執筆・刊行した。 第2は、スミス信用論の成立過程の解明である。『法学講義』から『国富論』にいたるスミス信用理論の成立・発展過程を、スコットランドにおける金融理論史と関連づけて考察するために、ステュアートと並んでスミスに大きな理論的影響を与えたデビッド・ヒュームの経済理論とりわけその信用論をスミスの理論と対比しながら考察・検討した。ヒュームとスミスの理論比較を主題としてワークショップで研究報告を行い、日本語および英語の論文を執筆中である。 第3は、スミス信用論の理論構造の分析である。スミス信用論の中で銀行論と並んで重要な問題領域をなす利子論について、『国富論』を中心に理論構造の分析を行った。この考察に基づいて、論文を執筆する予定である。 第4は、19世紀の通貨学派および銀行学派におけるスミス信用論の継承関係の考察である。この問題と関連する文献・資料の調査・収集を行い分析・検討した。
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Research Products
(1 results)