2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13630011
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
新村 聡 岡山大学, 経済学部, 教授 (00167561)
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Keywords | アダム・スミス / 信用 / 利子 |
Research Abstract |
平成16年度中に、主として次の4点について研究を行った。 第1は、スミスの利子論と金融市場論の理論構造の分析である。スミス信用論の中で銀行論と並んで重要な問題領域をなす利子論と金融市場論について、『国富論』を中心に理論構造の分析を行った。さらに、スミスの高利禁止論に対するベンサムの批判の歴史的・理論的意義についても考察し、両者の金融市場や企業家に対する見解の違いを明らかにした。この研究成果をまとめた論文「アダム・スミスの利子論と金融市場論」を平成17年度中に公刊する予定である。 第2に、利子率低下論と関連して、資本蓄積にともなう賃金・利潤・利子・地代などの分配分の相対的変化に関するスミスの見解をヒュームと比較して、「ヒュームとスミスにおける経済発展と不平等」(英語・日本語)という論文にまとめた。平成17年5月に経済学史学会大会、6月にHESの大会で報告したあと、17年度中に平井俊顕編『市場社会とは何か(仮題)』(東大出版会)の1章として刊行される予定である。 第3に、19世紀の通貨学派および銀行学派におけるスミス信用論の継承と批判の関係を理論史的・経済史的に考察するために、関連文献・資料の調査・収集を行って分析・検討した。とりわけスミスのいわゆる真正手形学説の19世紀信用論への影響について重点を置いて考察した(平成17年度も研究継続中)。 第4に、スミスの銀行論をコーポレート・ガバナンス論として考察した。平成17年度中に「アダム・スミスの金融市場論と銀行のコーポレート・ガバナンス論」という論文(英語・日本語)にまとめて、ESHETの大会で報告したあと、公刊する予定である。
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