2001 Fiscal Year Annual Research Report
戦間期の経済理論、経済政策論、社会科学の相関的探究
Project/Area Number |
13630017
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
平井 俊顕 上智大学, 経済学部, 教授 (60119112)
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Keywords | ケインズ / ヴィクセル / ヴィクセル・コネクション / 戦間期 / 相関的探究 |
Research Abstract |
本年度の前半は、その大半を『ケインズの理論-複合的視座からの研究』の執筆作業に割いた。これは17章と4つの補章で構成され、800ページにおよぶ。私の、これまでのケインズを中心とした、、戦間期の経済理論、経済政策論の研究の集大成とでもいうべき仕事であり、これまで発表してきた論考のアップツーデート、改訂、ならびに推敲を中心とした作業であった。本書は、近く刊行の予定である(ちなみに第3章は「ヴィクセル・コネクション」である)。 また、戦間期の経済理論、経済政策論、社会科学の相関的探究に関する研究を進めるために、2つの研究会-「市場社会をめぐる研究会」、ならびに「ケインズ・セミナー」-を立ち上げた。様々な大学の研究者と、前者では延べ8回(累計16名)、後者では延べ3回(累計6名)の研究報告会を実施した。 年度後半には、2つの資料調査を実施した。1つは東畑精一文庫(三重県立図書館蔵)で、そこではシュムペーター直筆の『資本主義・社会主義・民主主義』草稿、ならびに関連する執筆メモの調査に当たった。もう1つは、大正デモクラシーを代表する経済学者、福田徳三の文庫(大阪市立大学蔵)で、そこでは福田の多数の著作の調査に当たった。一番興味をひかれたのは、1925年のロシア訪問に関するものであったが、この調査を通じて、戦間期のわが国の経済学の状況への関心が非常に高まった(これは思わぬ成果であった)。 その他、経済学史学会(関西学院大学)で「ケインズ研究の対立-学史研究と理論分析の緊張関係」と題する研究発表を行っている。 なお、この過程で、ケインズの哲学(『確率論』)、ブルームズベリー・グループ、ハイエクの自生的秩序論批判、シュムペーター体系の批判的検討、の研究を行ってきており、それらに関する論考の執筆をほぼ終えている。これらの公表は来年度に回されることになる。
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Research Products
(2 results)