2001 Fiscal Year Annual Research Report
個別保険リスクのプライシング理論と保険ポートフォリオのリスク管理法
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13630030
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
刈屋 武昭 京都大学, 経済研究所, 教授 (70092624)
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Keywords | 金融と保険の合流 / 生命保険プレミアム / 地震債券 / 信用リスク派生商品 / ディフォルトスワップ / 派生商品の価値評価 |
Research Abstract |
1)金融と保険の合流という視点から、金融工学と日本の金融イーノベーションの関係をサーベイ的に整理した。そこでは、機能的金融論の立場から私が提案する信用リスク分析法が、保険リスクを分析する上で有効であることを議論した。生命保険や地震債券のプレミアムを無裁定価格理論に基づいて例示的に評価している。 2)信用リスクデリバティブを信用リスク保険と同等とみて、価値評価を行った。具体的な金融商品として、転換社債のキャシュフローを保証するディフォルトスワップのその価値評価を、(1)取引相手同士に信用リスクがないとする場合、(2)それらがあるとする場合に分けて行った。 3)保険対象の個別のリスクを評価する理論と金融の信用リスク分析などで用いられている無裁定価格理論を応用し、「個別リスク理論」に基づく保険リスク理論を展開した。そこにおけるリスクのプライシングは純粋のリスクの保険料(純保険料)という点ではもっともフェアーな価値を表現するので、理論的に重要であると考える。もちろん実際の保険料は、純保険料に安全料率とコストをくわえたものとなる。まず、個別リスクの生起プロセスを確率プロセスとしてとらえ、個別保険リスクを評価する理論の一般的枠組みを展開。そして実際の損害保険や生命保険で販売されているいろいろな商品構造に対応した商品の保険料の公正な理論価値評価式を導出した。
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