2003 Fiscal Year Annual Research Report
個別保険リスクのプライシング理論と保険ポートフォリオのリスク管理法
Project/Area Number |
13630030
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
刈屋 武昭 京都大学, 経済研究所, 教授 (70092624)
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Keywords | 火災保険のプライシング / 生命保険のプライシング / 保険リスクと金融リスクの合成 / 保険会社のリスク管理 |
Research Abstract |
個別保険リスク評価として、1)火災保険のプライシング 2)生命保険のプライシング 問題を考察した。 1)は現実に販売されている火災保険は、保険期間中に火災が起こってもその損害額が、設定された損害額の定割合以下である場合、残りの期間に対して100%の権利が自動復元するという内容をもつ。このような火災保険商品の再帰性に着目したプライシングである。 2)生命保険は一般的に、死亡保険、生存保険の両方を合わせたものである。さらに、子供保険など、親子のいずれかの生存、もしくは死亡に関係した保険などもある。これらの単一もしくは複数の生存体の生死に関わる保険のプライシングを行なった。 プライシングの視点は、個別保険無裁定プライシング原理に基づくものである。 さらにまた、3)保険リスクと金融リスクの合成商品の設計問題リスク評価問題を考察した。伝統的な銀行業や保険業ではリスクを自らのポートフォリオの中にプールしているが、そのリスクが互いに関係がない限り、リスクプールを合併して保有した方が効率が高くなることを刈屋(2001)は示している。この視点から信用リスクと保険リスクを合成したいくつかの商品のプライシングを行った。たとえば地震もしくは急激な円高のいずれかによって引き起こされる信用不足を補填する商品である。 4)すなわち、損害保険会社がリスクをプールして管理する場合のリスク管理問題として、損害保険会社では同質と考えられるプールごとに大数の法則を適用して、それに一定の利益率を加えた個別リスク管理をしている。ここでは複数の同質母集団を1つのプールとしてみたときの、リスク管理の枠組みを考えた。さらに、リスクをプールする保険会社のリスク管理問題を考察し、1つの管理方法を示している 5)不動産の価値評価問題に関わり、不動産賃料保証のプライシング法を考察した。これは賃料保険の価値評価の問題でもある。たとえば、ワンルームなどのマンション販売などでは、一定期間賃料保証をする。このような賃料保証の合理的保険料を評価するプライシング法を考察している。
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Research Products
(1 results)