ネットワーク構造を持つ産業におけるTFP概念の構築および推計

2001 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13630045
• Research Institution: Yokohama National University
• Principal Investigator: 鳥居 昭夫 横浜国立大学, 経営学部, 教授 (40164066)
• Keywords: ネットワーク型産業 / 生産性 / ネットワーク外部性 / 生産関数 / 技術効率

Research Abstract

本研究の目的は、ネットワーク型産業の生産性分析の基本的枠組みを構築し、いくつかの産業において成長率を推計することである。本年度の目標は、システムによって供給されるサービスの生産性の概念構築と、実証分析のための準備であった。まず、概念構築について報告する。従来は、ネットワークを構成するインフラ部分の生産性のみを単純に付加価値をアウトプットとした計測が一般的であった。本年度の検討の結果、システムにイノベーションが発生した場合に供給されるサービスの質が上昇した効果を、最終的なサービス市場への需要シフトとして計測することが適切であると結論した。システムにイノベーションがあった場合、まず1次的な需要シフトの結果、端末の流通量が増大する。この結果、ネットワーク外部性によって消費されるサービスの質が向上し、2次的な市場拡大が発生する。観測される需要増から、隣接市場の価格との相対価格の変化によるシフト部分、および端末価格の変化による需要増を控除して、需要関数の移動である需要シフト部分を抽出する必要がある。詳細は省略するが、以上の要因をモデル分析して計量化する準備が行われた。また、インプット部分としては、ネットワークのインフラとして形成されている社会資本だけではなく、ネットワークに接続する端末のコストも適切に参入する必要があること、および、ネットワークを維持するために投入される労働投入だけでなく、ネットワークに接続するユーザーのコストも考慮する必要があることが結論付けられ、具体的な生産関数の形状の候補が検討された。ただし、これらの候補のうちどれが適切かという判断は、次年度に予定される実証分析の結果を待たなければならない。次に、実証分析の準備は、主に商業データベースの普及によって助けられ、ほぼ完了に近い。