2002 Fiscal Year Annual Research Report
ネットワーク構造を持つ産業におけるTFP概念の構築および推計
Project/Area Number |
13630045
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
鳥居 昭夫 横浜国立大学, 大学院・国際社会科学研究院, 教授 (40164066)
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Keywords | ネットワーク型産業 / 生産性 / ネットワーク外部性 / 生産関数 / 技術効率 |
Research Abstract |
本研究の目的、ネットクーク型産業の生産性分析の基本的枠組みを構築し、いくつかの産業において成長率を推計することである。本年度の目標は、前年度に引き続いて実証分析のためのデータ・ベースを構築すること。および生産関数等の推計の作業を行うことである。 まず、実証分析の対象として考慮した産業は携帯電話産業である。携帯電話の場合には、システムのアウトプットはトラフィックの量で量ることができる。トラフィック量の推計は、各電話会社の利用者数と平均利用量によって推計する。一方、投下資本量は、各携帯電話会社の有形固定資産残高(これは主にアンテナ設備ネットワークへの投資量)および使用されている携帯電話の資産残高からなる。後者は、各会社ごとの契約回線数および端末の平均価格から推計される。人的サ-ビス投入量は、各会社の人的サービス投入量と携帯電話に費やす通話時間からなる。現在、計量分析作業の遂行中であり、結果のレファインを行っている。暫定的な推計においては、通常推計されている以上のTFP成長率が予想されている。すなわち、個別企業の生産性成長率はシステムとしての生産性成長率を過小評価している可能性がある。さらに、固定電話からのトラフィック量の移動を推計して、これを相対価格の変動を用いて補正し、アウトプットとしてのトラフィック量の質的変動を推計する作業を遂行している。 次に、実証分析の対象としているのは、情報処理サービス産業である。現在作成したデータベースを用いて、適切な投入・産出指標について検討を行っている。IT産業の生産性成長率は通常、資本の深化としてのIT投資の役割を計測するが、本研究の推計作業においては一般事務部門からの人的代代替効果を相対価格で補正することによって、よりシステム生産性として適切と思われる指標を計算している。
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