2001 Fiscal Year Annual Research Report
戦略的産業政策:不確実性下の技術開発における共同研究
Project/Area Number |
13630046
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
芹澤 伸子 新潟大学, 経済学部, 教授 (90303106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 安憲 早稲田大学, 政治経済学部, 教授 (00046129)
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Keywords | R&D / 共同研究 / 産業政策 / 貿易政策 / 直接投資 / 技術提携 / 寡占 |
Research Abstract |
本研究の初年度はサーベイを中心に行うことを目的としていたため、80年代以降の先行研究の論点の整理を行った。R&Dを扱う研究は広範囲に渡るため、本研究の目的に添って戦略的なR&Dや協同研究組織の分析をとり入れた論文を中心にサーベイし、(1)明らかにされたこと、(2)政策含意及び現実との整合性、(3)残された問題および、(4)疑問点などについて整理した。これにより、生産とR&D投資活動の相互関係、さらに参入企業間の寡占的振る舞いによる相互作用を同時に考慮せねばならず、モデルの仮定や前提条件に依存するといった寡占モデルの弱点が、技術(知識)の外部性を考慮するとことで強まり、モデルの一般化の困難さを再認識した。 しかしこれらの論文で扱われる協同研究組織は専ら欧米に見られるタイプの形態であり、80年代盛んにもてはやされた日本の協同研究組織・組合とは、組織運営形態は極めて異なる。後者は実証的に我が国においても、精力的かつ深い研究が沢山なされてきた。これとは対称的に、たとえば協同研究組合などの組織を、組織形態や日本的な労働慣行といった社会制度まで含めた視点で理論分析を行っているものは極めて少ないといえる。さらに、企業のR&D投資活動はもはや一国内で完結するものではなく、海外直接投資や技術提携など国境を超えた戦略的な企業活動、あるいは政策についての分析は不可欠であるが、この点についても研究が十分になされているとはいえない。これらの問題点を克服するようなモデルを構築すること、またそのようなモデルを用いて、たとえば、80年代の日本半導体産業の成功が産業、貿易政策が戦略的だったからか、組織内部のあるいは制度そのものの特性が、組織のパフォーマンスの違いをもたらすのか、今後の研究で再検証する必要がある。
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