2002 Fiscal Year Annual Research Report
米国におけるジョブマッチングの男女差のライフサイクル仮説
Project/Area Number |
13630047
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
大森 義明 小樽商科大学, 商学部, 教授 (10272890)
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Keywords | ジョブマッチ / ジェンダー |
Research Abstract |
結婚、出産、育児、夫の転職による地域間移動等によるキャリアの中断は、単に女性労働者の人的資本を磨耗させるだけでなく、良質なジョブマッチを喪失させることを通じて、労働所得の喪失をもたらすであろう。予期されるキャリアの中断も、人的資本への投資を控えさせるだけでなく、ジョブマッチングへの投資(転職)をも控えさせるであろう。女性の人的資本投資への本格的な投資とそれに伴う労働所得の急成長は、将来、キャリアの中断がないと予想される時点から始まるという、いわゆる人的資本投資のリバウンド現象については、既存の実証研究(Mincer and Polacheck 1974,Stafford and Sundstrom 1996等)により、その存在が明らかにされている。同様なリバウンド現象がジョブマッチングへの投資にも存在するか否かを実証的に検証するのが、本研究の目的である。 今年度は、昨年度構築したデータを用い、時間を追って変化する説明変数と個人に特殊な観察不可能な属性をコントロールしたjob-to-job (JJ)とjob-to-nonemployment (JN)のセミパラメトリック競合リスクハザードモデルの最大尤度推定を男女別に行った。更に、Oaxaca Decomposition法を用い、JJハザードとJNハザードの平均値の男女差を説明変数の平均値の男女差、説明変数の効果の男女差、その他の説明不可能な男女差に分解した。主な発見は、(1)平均的な男性の方が平均的な女性よりもJJ, JN, JJ+JNハザードのすべてにおいて高いこと、(2)結婚と育児がJJハザードの男女差を拡大し、JNハザードの男女差を縮小すること、(3)結婚と育児のリバウンド現象が女性の間では見られるのに対し、男性の間では見られないことである。研究実績を日本経済学会春季大会で発表し、レフェリー制の国際的な学術誌に投稿し、来年度の研究に役立つ貴重なコメントを得た。
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