2002 Fiscal Year Annual Research Report
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13630050
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
鈴木 康夫 滋賀大学, 経済学部, 助教授 (70244100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小倉 明浩 滋賀大学, 経済学部, 助教授 (20204159)
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Keywords | 国際経済 / オープンマクロ動学 / 経済成長政策と資本蓄積 / 国際的生産要素移動 / 労働力移動 / 受け入れ国と送り出し国の問題 / 2国経済モデル / 外国人労働者 |
Research Abstract |
まず、平成13年度に分析された基本モデルの拡張研究が、文献や資料の検討に基づいて理論的に試行された。特に、平成14年度では、生産技術や人口動態に関していっそう配慮した定式化に改めたモデルを用いつつ、雇用側面の国際的な諸格差に注目して、その拡張研究が行われた。この分析でも、国際的に移動する労働力が発展途上国出身の労働力だけであるという前提と、先進国での受け入れ状態に分析の重点を置く、国際的資本移動が無視された動学的な2国国際経済モデル及び経済成長理論の理論枠組みは保持された。 当該の拡張研究の分析では、仮定において、2国間の国際的賃金格差を国際的労働移動の主因としながらも、併せて国際的雇用機会格差も考慮した、似て非なる定式化が採用されている。この場合、資本装備率と先進国での外国人労働力比率の水準で表現される経済状態は、大まかには基本モデルの結果と同様に、動学的に不安定的に運行する傾向がかなり強く、また、やはり、当該の動学的均衡が存在しない可能性が圧倒的に高くなる。分析結果のこれらの傾向は、諸々の制度的変数の影響を外生的に受けるが、日本の場合の資料やデータなどに基づく総合的な考察を踏まえても、あまり変わらない。このため、グラフ上での軌道可視化や摂動による比較静学効果などの一層詳細な動学的数値分析があまり有効でないことがわかった。 経済状態の動学的に不安定的な傾向は、この場合の自由な国際労働移動でも、対象の両国に関して理論的に予測でき、しかも途上国の経済成長には有利となるだろう。先進国のこの不安定傾向が、国際労働移動の調整速度や人口成長率や貯蓄率や賃金率格差などの制度的な外生的変数に対する経済政策によって、ある程度緩和され得るという平凡な結果も導かれた。
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