2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13630052
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上原 一慶 京都大学, 経済研究所, 教授 (60052544)
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Keywords | 失業 / 固定工 / 臨時工 / 労働力移動 / 都市と農村の大対流 / 地方工業化 / 二本立ての労働制度 / 一時帰休 |
Research Abstract |
3カ年計画の第一年度として、中華人民共和国建国から今日までの就業政策、労働政策に関する資料、文献を収集するとともに、中国語資料については訳出に努めた。 以上の結果、以下の点が明らかになってきた。 第一に、建国初期の膨大な失業者(在職者800万人に対して400万人の失業者。なお52年の失業者数は376.6万人、失業率13.2%)を消滅したのは1958年のことであり、その前年の57年にはなお200.4万人(失業率5.9%)もの失業者が存在していたこと。 第二に、建国初期の失業問題の解消は、政府による労働力の計画的配分など計画化(政府による労働力の全一的支配)の完成によるよりは、大躍進政策のもとで顕著であった地方工業の発展など、工業の分散化による労働力需要の急増によるところが大きいこと。 第三に、58年以降、政府は戸籍制度により、農民の都市流入を厳格に抑制したとされているが、その実態はかなり疑わしいと思われること。たとえば、64年段階では、依然として「不合理な盲目的移動」があることが公安部の文献で指摘されている。また、文革期には、1600〜1700万人にのぼる都市知識青年の農山村への下放の一方、ほぼ同じ数の農民が都市で就職をするという都市と農村の大対流が起こったことも収集した資料から明らかになった。 第四に、したがって、中国では一貫して農民の都市流入圧力が強く、大躍進期や、文革期に、ソ連型重化学工業化にさらに地方工業発展政策がとられたことも、こうした流入=就業圧力に応えていく側面もあったのではないかと思われること。 なお収集、翻訳した資料については資料集として公表を予定している。
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Research Products
(1 results)