2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13630061
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
浜渦 哲雄 広島大学, 総合科学部, 教授 (50253026)
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Keywords | 第3次石油危機 / 遊休設備の減少 / 原油生産のピーク / 価格帯 / 同時多発テロ / アメリカの制裁 |
Research Abstract |
初年度は主に「第3次石油ショック」といわれた1999年以来の石油価格上昇の動きを追い、価格上昇の原因を分析した先行研究を調査した。ほとんどの論者に共通している論点は、世界の原油生産設備の稼働率が高まり、遊休設備がほとんどなくなった、ということである。したがって、一部のOPECメンバーが国別生産割り当てを無視して生産しても過剰生産が起こりにくく、価格が高めに推移した。一部の論者はこのまま世界の需要が伸び続ければ供給が追いつかなくなり、価格が高騰すると予測した。また、地質学の立場から世界の原油生産は数年内にピークを打ち、減少に転じると、予言する研究者も現れた。 2001年8月に香港バプチスト大学エネルギー・センター主催のInternational Conference on Asian Energy in New Century : Issues and policiesにおいて、Dr.M.G.Salameh世界の石油需給のタイト化、2-3年内の値上がりの可能性を強調する報告をした。アメリカの景気後退、9.11同時多発テロで不況が深刻化し、石油需要が低下、2001年後半には石油価格がOPECの設定する価格帯22-28ドルを割り込んだ。 今回の需給緩和は供給の増加より不況による需要削減によってもたらされたもので、景気が回復すれば再び需給関係がタイトになる可能性が大きい。供給の制約が地質学的なものでなくても、アメリカのイラン、イラク、リビアなどに対する制裁のため、最も石油資源のある地域への投資ができなくなっている。地質学的な制約がなくても政治的制約のため、原油生産が頭打ちになる可能性ができている。石油需給は一時的緩和で安心できない状態になっている。
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Research Products
(1 results)