2002 Fiscal Year Annual Research Report
国際的技術スピルオーバーの環境負荷抑制効果と技術政策に関する理論的・実証的分析
Project/Area Number |
13630066
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
藤田 渉 長崎大学, 経済学部, 教授 (30264196)
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Keywords | 環境政策 / 貿易 / 環境技術 / スピルオーバー |
Research Abstract |
貿易の影響についてのConnolly(1998)の計測では,イミテーションおよびイノベーションによる保有技術はいずれも高度技術製品の輸入と正の相関を持ち、非高度技術製品の輸入については負の相関を持つとする。Connollyの分析は一般的な技術を対象とし、輸入を通じた技術流入による生産性への効果について議論したものであるが、本研究は、各国・地域の二酸化炭素排出量およびエネルギー消費量に影響を及ぼす気候、産業構造、エネルギー消費・生産構造といった構造要因とともに、貿易などの技術流入経路によって説明される技術要因を抽出して、技術移転効果を計測可能であるかどうかを分析することを目的としている。ここでは構造的な要因とあわせて、先進国および途上国に関して、援助、海外直接投資、製造業品目の輸入、非製造業品目の輸入、技術の購入による獲得、エネルギー転換要素(原子力、石炭)といった技術要素が二酸化炭素排出量抑制に与える効果について計測を行っている。この結果、一般的な国外からの技術スピルオーバーについて論じた先駆的な研究と同様に、技術を体化した製品の輸入を通じて、'二酸化炭素排出量抑制という特殊な技術領域においても同様な効果が生じている可能性を示すことができた。 本年度は、国連貿易統計を用いて、各国の輸入工業製品の品目を細分化し、詳細な分析を行った。 特に注目すべきことは、食品、素材類、家具・衣類などの炭素集約度も相対的に低く、また製造に要する技術水準も比較的高くはない工業製品群が、エネルギー消費量においても二酸化炭素排出量においても抑制効果が計測されており、特に低所得グループの国家・地域で有意である。また高所得国家・地域のグループでは、情報通信機器の輸入による抑制効果も計測された。海外援助については中所得国家・地域のグループでは有意に効果が計測されたのみであり、低所得グループでは計測されなかった。また海外からの直接投資についてもその効果は認められず、R&Dのスピルオーバー効果に関する先行的な研究と同様の結果が得られた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 藤田 渉: "石油精製部門を対象とする環境・エネルギー分析用産業連関表のインサーベイ・アプローチ"経営と経済. 第82巻第2号. 237-264 (2002)
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[Publications] 藤田 渉: "国際的環境政策における技術移転問題-合液を解した環境技術の拡散効果-"東南アジア研究年報. 第44集. 69-97 (2003)
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[Publications] 藤田 渉: "二酸化炭素排出量と貿易を経由した国際的技術スピルオーバーについて"現代経済学研究. 第11号. (2003)