2001 Fiscal Year Annual Research Report
フィリピン地域社会経済の学際的研究-行為主体と制度的粋組の相互作用を中心として-
Project/Area Number |
13630068
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
西村 知 鹿児島大学, 法文学部, 助教授 (20253388)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 伸隆 筑波大学, 歴史人類学系, 講師 (10323221)
川中 豪 アジア経済研究所, 地域研究第一部, 研究員
川田 牧人 中京大学, 社会学部, 助教授 (30260110)
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Keywords | フィリピン / 地域 / 経済 / 社会 / 制度 / 学際的 / 行為主体 / 地域社会 |
Research Abstract |
西村は8月から9月にかけて約1ヶ月間、イロイロ州の米作農村における貧困層の実態調査を行ない、彼らが貧困の悪循環に陥るシステムを、おもに雇用制度や土地制度など経済に深く関わる制度について聞き取り調査を行なった。その結果、彼らは細かく分類することができ、なかでも最貧層は移動民的性格の農業労働者であることが明らかになった。川田は、当該都市圏において、ラジオ放送の実態調査を実施した。マスメディアをめぐる制度と行為主体についての基礎資料を収集し、補完的「制度」としての機能、セブアノという言語文化集団のひろい仮想連帯を生み出す様態、人文社会科学的知識の存在拘束性を規定する側面などを確認できた。川中は9月17日から10月8日の期間、マニラ首都圏において予算策定過程に関する資料収集を行った。行政官庁などで公文書の収集、フィリピン大学などで研究資料を収集した。予算策定の手続き、過去の実績などについてデータを手に入れ、中央に対する地方からの要求と中央から地方に対する賓源分配の仕組みを整理した。議会における利益の表出が顕著に認められ、行政と立法の関係を規定する制度的要因の重要性が確認された。長坂は11月に10日間、マニラ首都圏において印刷業を営む工場の調査を行った.調査対象は、以前長坂が行った調査対象の町出身者であった。調査賓料から、海外移住者が出身地、マニラに強固なネットワークを維持しながら、親族の経営するマニラの町工場へ資金援助を行うという、農村-都市移住という分析枠では捉えることのできない状況が明らかにされた。鈴木は8月4日から24日まで、マニラ首都圏にて資料収集のための調査をフィリピン大学図書館などで行い、アメリカ植民地期における政治的・経済的要請に基づく「フロンティア」に対する関心の高まりにより、瘴癘の地とされたミンダナオ島への移住政策が積極的に推進され、制度化されていく過程を追った。
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