2002 Fiscal Year Annual Research Report
海外生産・汚染を伴う相互国際寡占における最適貿易・環境政策に関する―研究
Project/Area Number |
13630076
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
石井 安憲 早稲田大学, 政治経済学部, 教授 (00046129)
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Keywords | 多国籍企業 / グローバルな環境汚染 / 環境汚染の国際間スピルオーバー / 戦略的環境税 / 最適環境税水準 |
Research Abstract |
本年度は、上記の課題に関する研究年度の2年目にあたり、研究実績を完成させて論文を提出すべき年にあたる。それゆえ、今年度の前半は、昨年度の資料収集とそれらの分析・討論を基に、さらなる新資料の収集と分析を推し進め、自国と外国の多国籍企業の生産に伴う環境汚染と自国政府の戦略的環境政策の有効性と最適水準を分析しうるモデルの構築とそのモデルの現実妥当性への推敲に専念した。具体的には、生産に伴って環境汚染を排出する多国籍企業支配による国際寡占産業の原型モデルを起案し、このモデルを使用して自国政府による環境政策の効果と最適水準を分析した。この分析によって得られた幾つかの命題は、原型モデルの構築と命題導出過程の説明を含めて日本語と英語の中間報告書に纏められ、国内の研究者のみならず海外の研究者に送付され、幾つかのコメントを得た。そして、後半では、中間報告書に対する.国内外の研究者からのコメントを考慮して、中間報告書を修正する形で、最終的な研究論文作成に取りかかった。 その結果、環境汚染を伴う財の生産が自国と外国に生産拠点を持つ多国籍企業によって行われ、問題の環境汚染が越境的な性質を持つグローバルな汚染ならば、・自国政府は、自国環境税を変化することにより、自国と外国の多国籍企業の生産量と貿易量のみならず環境汚染排出量をコントロールできること、それゆえ、・自国政府は自国の環境税を戦略的な政策として使用可能であること、さらに、・自国企業の汚染排出量を規制する自国政府の環境汚染税の最適水準は、必ずしも正でなく負になる可能性が在ること、等が明らかにされた。
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