2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13630079
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
柿野 欽吾 京都産業大学, 経済学部, 教授 (50097680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮下 洋 京都産業大学, 経営学部, 教授 (80166173)
安永 利啓 京都産業大学, 経営学部, 教授 (80230233)
柴 孝夫 京都産業大学, 経営学部, 教授 (00135641)
祷 道守 京都産業大学, 経営学部, 教授 (40340434)
日夏 嘉寿雄 帝塚山大学, 経営情報学部, 教授 (20258180)
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Keywords | 造船業 / 海運・漁業不振 / 韓国・中国追上げ / 企業再編 / 資本系列 / 構内下請 / 親方制度 / 中小企業 |
Research Abstract |
わが国中小造船業の実態究明に向けて、本年度は予備的な研究として以下の成果を挙げることができた。 まず、中小造船業に関する図書・資料・データとして『昭和造船史第1・2巻』『漁船統計表』『小型船小史』『全国(社)小型船舶工業会会員名簿』『造船統計要覧』『船の便覧』など貴重なものを収集することができた。これらは、次年度以降の本格的な実態分析に必要欠くべからざる基礎的な資料・データとなる。 つぎに、中手以下の造船企業を中心に4社の聞き取り調査を実施した。中部地方立地の一次下請、S社は大手造船企業A社・B社の2社から低単価ながらも受注量を確保しており、二次下請・D社もS社の構内下請として多忙な仕事量を確保するなど、いずれも堅調な経営をしていた。なお、D社では高度成長期に消滅したはずの「親方制度」が存続していた。これらS社・D社の元請にあたる大手造船企業A社の中部地方立地のT製作所では、韓国・中国の追い上げに対応するために下請利用を強化するとともに、構内下請従業員など非正規従業員を多用してコスト・ダウンを図っている実態が浮び上がった。また、九州地方立地の独立型中手造船企業・W社は、もともと漁船に特化した独立型の中小造船企業であったが、わが国漁業の不振を背景に特殊船分野に進出して経営の安定を図るとともに、中国企業を下請として活用しており、造船業界でのこうした形態での国際的分業として初めての事例が確認できた。 以上、中小造船業では、一方で1970年代央以降、経営破綻を露呈する企業が多数現れたが、他方では大手造船企業の下請として生き残るか、特殊船分野の建造に進出するものが存在するなど、中手以下の造船企業は環境条件悪化中で二極に分解している、等の知見が得られた。
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