2003 Fiscal Year Annual Research Report
英国植民地支配期ベンガル農業社会の地域構造に関するデータ・ベースの構築と分析
Project/Area Number |
13630087
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
谷口 晋吉 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (50114955)
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Keywords | 地域類型 / 人口動態 / 農業作付け構成 / 富農層 / 下層農 / 土地制度 / カースト構成 / ジュート栽培の拡大 |
Research Abstract |
この申請研究の目的は、インド東部ベンガル州における英国植民地統治期(18世紀後半から20世紀前半)の農業社会構造とその展開のメカニズムを明らかにするための基礎的作業としてデータ・ベースを構築し、それに基づいて一定の分析を行うことにあった。その為に、ベンガル州を構成する27県の内、平成13年度にファリドプル県、平成14年度にバカルガンジ県、平成15年度にダッカ県を取り上げ、『地籍確定事業報告書』、『ベンガル農業統計(1891-1945)』、『人口センサス(1872-1941)』、『Risley Collection』などを主たる資料として、それぞれの県の地域諸類型、人口動態、農業生産の展開、土地制度について詳細なデータの整理・検討を行い、ベンガル農業社会の地域的多様性の具体的様相を明らかにした。その結果、(1)これら3県は、カースト構成、生態学的環境、人口成長率、農業生産、土地制度などの諸点において、それぞれ明確に区別される3ないし4つの地域類型に分かれることが示され、(2)これまで通説により均質な小農民が支配的であるとされてきたベンガル東部諸県においても、広範な富農と下層農民の存在が確認され、(3)ベンガル東部農業社会が、19世紀末から20世紀初頭にかけて急速な社会変容を経験したことが人口動態分析により数量的に示され、(4)農業社会変容の推進力として、植民地支配下のジュート生産の急激な拡大が決定的に重要な要因をなしたことが農作物の作付構成の時系列分析により数量的に示された。 以上に示された諸点は、いずれも内外の通説をある場合には修正し、他の場合には、これまで以上に詳細かつ明示的に数量化したものであり、今後の植民地支配期ベンガル農業社会研究の1つの基礎を構築したと言えよう。これからのベンガル政治史・社会史の研究は、本研究で示された各県の地域類型を組み込んでなされねばならないだろう。
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Research Products
(2 results)