2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13630090
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
黒川 勝利 岡山大学, 経済学部, 教授 (10127558)
|
Keywords | 日本人移民 / サンフランシスコ / シアトル / 労働運動 |
Research Abstract |
本年度の調査、研究によって得た知見は以下のようなものである。 1.同じアメリカ合衆国の太平洋岸にありながら20世紀初頭におけるサンフランシスコの労働運動とシアトルの労働運動との間には大きな意見の対立があった。シアトルの労働運動がアメリカ労働総同盟を中心とする当時のアメリカ労働運動のいわば異端であったのに対して、サンフランシスコの労働運動はおおむねアメリカ労働総同盟本部の方針に忠実であった。 2.したがってシアトルとサンフランシスコの労働運動は相互に厳しく批判しあっており、このことはシアトル中央労働評議会の機関紙であるシアトル・ユニオン・レコードとサンフランシスコ中央労働評議会の機関紙であるレイバー・クラリオンの記事、論説でもうかがうことができる。 3.日本人移民への対応について述べるならば、シアトルの労働運動が初期の排斥から徐々に態度を変化させ1920年代になると同市の日本人社会との間にかなり友好的な関係を築いていったのに対して、同時期のサンフランシスコの労働運動は一貫してこれに敵対的であった。なおロサンゼルスの労働運動について現在までに散見した資料では、シアトル、サンフランシスコ両市のいわば中間にあったように思われる。しかしこの点についてはなお明確に断定するほどの資料を入手していない。来年度以降の課題としたい。 なお本年度の成果の一部として、サンフランシスコ州立大学労働資料研究センター所蔵のレイバー・クラリオンの記事の中から本研究課題に関連するものを析出し、『岡山大学経済学会雑誌』に資料として紹介した。
|
Research Products
(1 results)