2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13630090
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
黒川 勝利 岡山大学, 経済学部, 教授 (10127558)
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Keywords | 日本人移民 / 労働運動 / シアトル |
Research Abstract |
本年度は、米国西北部における労働団体の会議の議事録、新聞、あるいは同地区における移民新聞などについて調査、研究を行い、その成果の一部をThe Taihoku Nippo and the Labor Movement in Washington,1922-1924として発表した。その内容を簡単に述べる。 1.1910年代末から1920年代初頭にかけて、ワシントン州労働運動における革新的指導者の登場によって、日本人移民と労働界との関係は著しく好転した。シアトルの邦字紙「大北日報」はこれを好機と考え、カリフォルニア州やオレゴン州においても日本人移民は労働界との友好関係を強化すべきであると、力説した。 2.まもなく合衆国で発生した全国的な炭坑ストライキ、鉄道ストライキにおいて日本人労働者は会杜と組合との板挟みになった。その時一部の日本人労働者派遣会社は鉄道会杜の要請に応じてスト破りを供給し、このことは西北部の日本人社会を混乱させた。その渦中にあって「大北日報」は、日本人労働者に組合を支持するよう訴え、また多くの労働者がそうした。 3.しかしながらワシントン州労働界において革新派の指導者たちが失脚すると、白人労働組合内に排日の気運が復活し、1924年には一部の製材所で日本人労働者の追放運動が発生した。このことは、労働界の排日はすでに終わったと楽観していた日本人社会の指導者たちに衝撃を与えた。その結果、「大北日報」もまた、日本人労働者の組織化、あるいは白人労働組合への加入に慎重な姿勢を示すようになった。
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Research Products
(1 results)