2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13630114
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
井村 進哉 中央大学, 経済学部, 教授 (50176509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 美彦 獨協大学, 経済学部, 教授 (10305782)
伊東 和久 広島女子大学, 国際文化学部, 教授 (90295832)
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Keywords | 住宅金融システム / 経済危機 / 官民競合 / KoMoCo / 公的金融 / 国民住宅基金 / 住宅ローンの証券化 / 日韓の比較研究 |
Research Abstract |
本研究は、日本と韓国において経済・金融危機下で進展する自由化、国際化、公的部門縮小政策が住宅金融システムにどのような影響を及ぼしているのかを、国内の資金配分の比較研究という視点に基づいて、実証的に明らかにすることを目的としている。 それに基づいて、平成13年度は、まず7月に静岡県で東アジア経済経営学会にあわせて、研究分担者によるワークショップを開催し、本研究テーマに関する参加者の基本認識の統一を図るとともに、個々人の研究計画を再確認した。特に井村は、韓国と日本の住宅ローンの証券化がそれぞれ「経済危機脱出政策」と「官民競合回避」といった独自の意義を有することに着目し、この証券化の背景、実態、および影響に関する研究を推進する必要があることを強調した。 そこで1月の韓国調査では、97年経済危機以降の住宅事情、政策、および住宅金融の動向について、韓国銀行、国土研究院、建設交通部、韓国住宅抵当債権流動化(株)(KoMoCo)など10カ所にわたってヒアリングを実施した。その結果、韓国では、97年危機以降、企業金融における社債、投資信託、資産担保証券を活用しながら、銀行融資の機能不全状態から脱却し、その延長線上に、住宅関連の公的金融機関である国民住宅基金の資金調達を補完する手段として住宅ローンの証券化が推進されていることが明らかとなった。この点については、『月刊住宅着工統計』4月号掲載論文で公表している。 また本年度は、日韓の比較研究を本格化させる前提として、日本の住宅金融市場における官民競合の実態、および公庫改革・証券化支援の意義と問題点についても、基礎的な検討を進めている。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] 井村 進哉: "米国貯蓄金融機関の組織規制緩和と免許制度の意義-その歴史と今日的到達点(上)-"(中央大学経済学研究会)経済学論纂. 第42巻 第1・2合併号. 77-111 (2001)
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[Publications] 井村 進哉: "米国貯蓄金融機関の組織規制緩和と免許制度の意義-その歴史と今日的到達点(中)-"(中央大学経済学研究会)経済学論纂. 第42巻 第3・4合併号. 69-113 (2001)
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[Publications] 井村 進哉: "アメリカの住宅金融システムは効率的か?〜保証・リファイナンス・証券化および「民営機関」中心政策の意義と問題点〜"(住宅金融公庫)住宅金融月報. 10月号. 32-39 (2001)
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[Publications] 柳 在廣, 井村進哉: "経済危機以降の韓国住宅金融システム"(財団法人 建設物価調査会)住宅着工統計月報. 4月号. 24 (2002)
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[Publications] 井村 進哉: "危機管理手段として証券化は必要-韓国の金融危機脱出の経験に学べ-"不動産経済 FAX-LINE. 2月19日号. 3-4 (2002)
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[Publications] 斎藤 美彦: "英国リテール金融機関の再編(上)"月刊 消費者信用. 第19巻 第10号. 34-37 (2001)
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[Publications] 斎藤 美彦: "英国リテール金融機関の再編(下)"月刊 消費者信用. 第19巻 第11号. 30-33 (2001)
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[Publications] 斎藤 美彦: "イギリスにおける住宅金融と公的介入の特質"(住宅金融公庫)住宅金融月報. 12月号. 66-73 (2001)
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[Publications] 井村 進哉: "現代アメリカの住宅金融システム:金融自由化・証券化とリーテイルバンキング・公的部門の再編"東京大学出版会. 400 (2002)