2003 Fiscal Year Annual Research Report
英国における製造企業主導型マーケティングの解明-国際比較のための素材として-
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13630120
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
薄井 和夫 埼玉大学, 経済学部, 教授 (60151859)
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Keywords | イギリス製造企業主導型マーケティング / イギリス独占禁止政策 / イギリス競争委員会 / イギリス・アイスクリーム・マーケティング / イギリス家電マーケティング / イギリス自動車マーケティング / 推奨小売価格 / 専売店チャネル |
Research Abstract |
本年度は、これまでの調査・研究に基づき、平成15年10月18日、日本商業学会関東部会(法政大学)において、「イギリスにおける製造企業マーケティングと競争政策」という学会報告を行なった。また、12月6日、本プロジェクトの海外研究協力者、エディンバラ大学のジョン・ドーソン教授の来日の機会を捉え、日本流通学会関東甲信越部会(明治大学)において"Recent developments in European retailing : new cultures, new strategies, new formats and new relationships"という報告をもとに、イギリスにおける製造企業マーケティングと小売マーケティングとの関係について検討を行なう機会を得た。 イギリスにおいては、小売マーケティングの研究が突出的に盛んであるが、自動車、家電、加工食品、ビールなどナショナル・ブランドをもつ製造企業のマーケティングもまた、イギリス国内で活発に展開されてきた。だが、第2次大戦後に整備されたイギリスの独占禁止法制は、その執行がかなり厳格であり、戦前までのイギリスのカルテル的体質を大きく変えてきた。イギリスの製造企業も、専売的なチャネルの構築や価格の垂直的維持といった面では、しばしばわが国製造企業と類似の志向を示してきたが、集団的および個別的再販売価格維持が禁止されるなかでの推奨小売価格(わが国のメーカー希望小売価格)に関する厳格な姿勢や、自動車ディーラー制度の競争阻害的側面に対する厳しい評価、ビール、家電、自動車等に対する通商大臣命令など競争政策の厳格な運用は、わが国と異なるマーケティング実態をもたらしてきた。また、小売業の活発なプライベート開発は、こうした製造企業マーケティングとの対抗関係のなかで行なわれてきた。本研究の結果、イギリスにおける製造企業マーケティング、小売マーケティングの相互関係についての歴史分析や、いわゆるイギリス法の「ヨーロッパ化」が進められるなかで、EU全体を視野に入れた製造企業マーケティングの分析など、今後の課題も明確化された。
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Research Products
(2 results)