2002 Fiscal Year Annual Research Report
多段階意思決定過程のモデル化と説得情報の制御方法に関する研究---電子市場における効果的な情報提示方法を探る---
Project/Area Number |
13630122
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中島 望 大阪大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (00095936)
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Keywords | 多段階意思決定過程 / 消費者行動 / 説得過程 / 意思決定のフレーミング / 情報提示 / オンライン・ショッピング / 価格提示法 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、電子市場における「意思決定のフレーミング」の問題に取り組んだ。これは、電子市場における情報提示問題および消費者行動について議論する際に、避けては通れない重要な問題を含んでいるからである。具体的にはウェブ上にオンライン・ショッピングを模した環境を構築し、情報の提示方法をいろいろと変化させて消費者の購買意思決定データを収集した。 こうした擬似的なオンラィン・ショッピング環境での調査の結果、フレーミング効果が安定して観測され、意思決定における参照点の形成とその影響というものが考慮すべき重要な要因であることを確かめた。また、一部の実験では、極端の回避や対比効果などの影響による参照点の移動状況も観測された。これらの結果からすると、ショッピング環境の設計により消費者の参照点を上方に移動し、売り手の収益向上に貢献できる可能性が高い。 そこで、これらの結果を定量的に記述するために、プロスペクト理論をペースにした確率的選択行動モデルを構築した。モデルには、constant loss aversionによるゲインとロスに対する評価の違いと、極端回避の効果を取り込んでいる。推定結果によると、ゲインに対するロスの評価が約1.25倍に拡大されており、これが実験で用いたダウン・グレード・フレーミングによる価格提示法の優位性の原因であることも確認できた。 以上の結果にこうした価格提示法のケース・スタディを付け加えて、昨年のJIMS研究大会で研究報告を行った。
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Research Products
(1 results)