2003 Fiscal Year Annual Research Report
生態学的シミュレーションによるビジネスモデルの進化プロセスの研究
Project/Area Number |
13630134
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 伸夫 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (30171507)
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Keywords | ビジネスモデル / 知的財産権 / 技術移転プロセス / 大学発ベンチャー / NPO / コンテナ化 / アライアンス / アクセルロッド |
Research Abstract |
昨年度から引き続き、ビジネスモデル、特に特許等の知的財産権を中心にして、技術移転プロセスに関する制度や実態の調査を行った。その成果は論文「技術移転の考え方」として発表され、技術移転にはライセンシングに限らず様々なパターンがあること、大学を中心とした技術移転、特に大学発ベンチャーには発明をビジネスとして扱う発想が乏しいことを明らかにしている。 いまやコミュニティ・ビジネスの担い手として注目されるようになったNPOは、実は大学周辺の研究開発の担い手としても注目されるようになってきている。そこで論文「NPOの組織評価軸」では、NPOの世界でのベンチャー・キャピタルともいえる助成財団が、助成のために行っている外部評価の方法を実証的に検証し、助成財団が事業評価よりも組織評価に重点を置いていること、その過去の評価経験で培われたノウハウに裏打ちされた評価軸がかなり安定したものであることを明らかにしている。 ビジネスモデルの研究としては、論文「日本の海運会社の定期航路部門とコンテナ化」で、定期航路がコンテナ化した際に、海運業界に全く新しいビジネスモデルが登場し、そのことで海運業界のアライアンスのパターンが激変したことを明らかにしている。また論文「日本型年功制の再評価」では、日本型年功制が(1)仕事の報酬は次の仕事の内容、(2)従業員の生活を守るために設計された賃金カーブというビジネスモデルであることを明らかにしている。さらに著書『虚妄の成果主義』では、その優位性を理論的に裏づけする作業も行われている。 生態学的シミュレーションの嚆矢ともいえるAxelrodの研究についても、理論的な再検討を行っており、論文"Note on complete proof of Axelrod's Theorem"では、Axelrodの重要な定理の十分性の証明が不完全であったことから、その完全な証明を与えている。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 松本渉, 高橋伸夫: "NPOの組織評価軸-助成のための外部評価の事例から-"The Nonprofit Review. Vol.2,No.2. 131-143 (2002)
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[Publications] 高橋伸夫: "日本の海運会社の定期航路部門とコンテナ化"赤門マネジメント・レビュー. Vol.2,No.2. 83-105 (2003)
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[Publications] 高橋伸夫: "ぬるま湯的体質の研究が出来るまで"赤門マネジメント・レビュー. Vol.2,No.6. 247-277 (2003)
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[Publications] 高橋伸夫: "日本型年功制の再評価-賃金の成果主義をどう考えるか-"赤門マネジメント・レビュー. Vol.2,No.8. 339-365 (2003)
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[Publications] Takashi Shimizu, Nobuo Takahashi: "Note on complete proof of Axelrod's Theorem"Annals of Business Administrative Science. Vol.2,No.4. 39-46 (2003)
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[Publications] 高橋伸夫, 中野剛治: "技術移転の考え方"赤門マネジメント・レビュー. Vol.2,No.10. 481-529 (2003)
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[Publications] 高橋伸夫: "経営の再生[新版]-戦略の時代・組織の時代-"有斐閣. 331 (2003)
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[Publications] 高橋伸夫: "虚妄の成果主義-日本型年功制復活のススメ-"日経BP社. 244 (2004)