2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13630135
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Research Institution | HITOTSUBASHI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
岡室 博之 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (40251730)
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Keywords | 中小企業 / 連携 / 共同事業 / 研究開発 |
Research Abstract |
今年度は、昨年度に行った文献調査と聞き取り調査に基づいて.大規模なアンケート調査を実施し、中小企業の戦略的連携、特に共同研究開発の実証分析を行った。全国の製造業中小企業を対象とする4月の予備調査(300社)及び7月〜8月の本調査(6000社)から合計1577社(25%)の回答が得られ、そのうち主として共同研究開発に参加した255社が分析対象になった。 この調査では、中小企業がどのような企業・機関とどのような組織・契約形態で連携したか、またどのような成果が得られたかを主に質問した。回答データを基に、共同研究開発の「技術的成功」(成果の特許出願)と「商業的成功」(成果が売上に貢献)をそれぞれ被説明変数とし、共同研究開発の組織・契約内容を説明変数とする重回帰分析(プロビット分析)を行った。その結果、共同研究開発の組織・契約内容が成果に影響するという基本的な仮説は支持された。特に、異業種企業や大企業、取引先企業の参加や協力、共同研究開発の過去の経験と継続年数が成功の確率を有意に高めること、共同研究開発の成功には自社の研究開発努力が重要であること、補助金が強い負の効果を持つこと、大学や研究機関の関与によって成功率はむしろ低くなる可能性があること、できるだけインフォーマルで柔軟な組織形態が有利であること、そして費用分担・成果配分の方法が成果を左右することが明らかになった。また、共同研究開発の技術的成功と商業的成功の決定要因に大きな違いがあることが分かった。産学連携と補助金の負の効果についてはいくつかの解釈があり、それを究明することが今後の重要な課題のひとつである。 さらに、「企業活動基本調査」の個票データを得て、さまざまな共同事業の経営成果への影響を計量的に分析した。その結果、共同研究開発が、その後の利益率、労働生産性上昇率、総要素生産性上昇率に有意な正の効果を持つことが検証された。
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Research Products
(1 results)