2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13630152
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小林 俊治 早稲田大学, 商学部, 教授 (00063701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
潜道 文子 湘南短期大学, 商経学科, 専任講師 (60277754)
山口 善昭 富士短期大学, 経営学科, 教授 (00200634)
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Keywords | ステークホルダー / 企業倫理 / 株主権 / 批判的経営理論 / コーポレート・ガバナンス |
Research Abstract |
本年度はまず、ステークホルダー・マネジメント理論の最新動向を主としてアメリカの文献を中心に研究した。アメリカでは、90年代の企業倫理の研究は、ガバナンス論とステークホルダー論を中心に展開されたといわれるほど、ステークホルダー理論は深化し、企業活動のさまざまな部門において、そのコンセプトが導入されている。たとえば、出資者関係では社債所有者、人事関係では従業員の家族、NPO、NGOなどのように、これまで企業のコア・ステークホルダーとはいえない人々が戦略的ステークホルダーの地位を占める傾向が見られる。 要するに、ステークホルダー間のパワー関係は、それぞれの企業の経営理念やおかれている状況によって変化するのである。こうした新しいステークホルダー観は、状況適応的(コンティンジェント)ステークホルダー理論といえよう。この視点に立つと、従来いわれてきている、株主を最優先する古典的あるいは法律的ステークホルダー理論は、今日のように、企業を取り巻く環境が複雑な時代には、その有効性を失いつつあるといえる。 また、フランクフルト・スクールのハバーマスなどに依拠する批判的経営理論(critical management theory)も、企業活動の正当性、企業の民主化や人間化などの視点から、法律的ステークホルダー理論を批判する。すなわち、株式会社の所有権はたしかに株主にあるが、企業のマネジメントは株主の利益だけを考慮するのではなく、株主権を超えた公共の福祉の増大が重要であると主張する。 本研究の目的は、状況適応的ステークホルダー理論を検証する意図をもって、仮説をたて、アンケート調査をおこない、結論をえることにある。そのため、すでに調査票の作成を開始した。現在、若干のサンプルを選んで、プリテスト中である。来年度早々、本調査を実施する予定である。
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Research Products
(2 results)